【スポーツ×SDGs】スポーツ界横断使い捨てプラスチックごみ削減プロジェクト『HEROs PLEDGE』始動。未来の子どもたちに持続可能な環境を残す
2024年03月29日 地域振興/社会貢献 アスリートマネジメント/セカンドキャリア Written by 管理者
日本財団は、アスリートと共に社会課題解決の輪を広げていくことを⽬的とした「HEROs~Sportsmanship for the future~」において、地球規模で広がっている海洋ごみ問題や気候変動といった環境問題に対して、その原因の一つである使い捨てプラスチックごみをなくしていくために、スポーツ界を横断して削減に取り組むプロジェクト「HEROs PLEDGE」を始動した。本プロジェクト始動にあたり、3月28日に日本財団ビルで、参画アスリートらが登壇し、「⽇本財団『HEROs PLEDGE』発表会」を開催した。
HEROsプロジェクトは、アスリートによる社会貢献活動を促進することで、スポーツでつながる多くの方の関心や行動を生み出し、社会課題解決の輪を広げていくことを目的に、2017年に活動を開始。昨今、地球規模で海洋汚染が広がるとともに、世界各国で気候変動による異常気象が見られるようになり、日本でも猛暑や水害などが多発するなど、人々の日々の生活を脅かしている。これらの問題は、スポーツ界にも関係し、猛暑や雪不足で競技ができない状況が生じるなど、普段スポーツを楽しむ私たちやアスリートにも大きな影響を及ぼしている。海洋汚染や異常気象など、地球規模で広がっているこれらの環境問題の要因の一つといわれているのが、スポーツ界からも多く排出されている“使い捨てプラスチックごみ”だ。本プロジェクトは、ゴールである「スポーツ界から使い捨てプラごみゼロに」の実現に向けて、アスリートを起点としながら、協会、連盟、クラブチーム、ファン、消費者、企業と共に、スポーツ界が一体となり、力を合わせて取り組んでいく“スポーツ界を横断した使い捨てプラごみ削減プロジェクト”だ。
本プロジェクトには、33名のアスリート、10組のスポーツ関連団体が既に参画(3月28日時点)。2027年度末に主要スポーツの興行において使い捨てプラスチックごみの半減を当面の目標とし、アスリートが起点となり、パートナーアスリートとともに使い捨てプラごみ削減の先進事例づくりに取り組むほか、HEROs PLEDGE特設サイト上で提供されるプレッジ(宣言)機能を活用したファンなどの一般生活者への発信、さらにはパートナーのスポーツ関連団体と連携した使い捨てプラごみ問題啓発のためのファン参加型のごみ拾いイベントを5月末までに計9イベント行う。日本財団は、本プロジェクトを通し、アスリートやチームから正しい知識とアクションを発信し、海洋ごみ問題や気候変動などの社会課題の解決につなげ、さまざまな人たちがスポーツを安心して実施できるような環境づくりを行っていくとともに、ファン一人一人が、海洋ごみ問題や気候変動問題に対してアクションを起こすきっかけをつくる。
⽇本財団『HEROs PLEDGE』発表会
報道関係者向けに本プロジェクトの始動を発表する機会として、3月28日(木) 11時から日本財団ビルで「⽇本財団『HEROs PLEDGE』発表会」を開催。発表会には、本プロジェクトをリードする元競泳選⼿の井本直歩⼦⽒に加え、スキーノルディック複合の渡部暁⽃選手や、プロサーファーの都筑有夢路選手などプロジェクト参画アスリートらが多数登壇した。
冒頭、本プロジェクトの始動に関して日本財団の笹川順平常務理事は、「人々が生活しづらい地球になってきている、またスポーツを楽しむ場が奪われている。この原因の一つである気候変動の問題をなんとかしようとアスリートらとともに『HEROs PLEDGE』というプロジェクトとして立ち上げました。アスリート・スポーツが持つ力を生かして社会問題を解決していきたいです」と語り、また本プロジェクトをリードする元競泳選⼿の井本直歩⼦⽒は、「今日のような華々しいプロジェクトの始動を迎えられたことにワクワクしていますし、ここからスタートできることをうれしく思います。自分には環境問題についての知識がない、周りに声をあげている人がいない、自分が何をしたらいいのか分からない。そういった方がまだたくさんいらっしゃいます。みんなで学び、一緒に声をあげていくことで多くの効果が出せるのではないかと感じているので、日本財団、そしてアスリートやスポーツ団体の皆様と課題解決のために本気の取り組みをしていきたいと思います」と本プロジェクトへの強い思いを語った。
さらに参画アスリートとして登壇した都筑有夢路選手は、「(サーフィンは)海がないとできないスポーツなので海を守りたいという気持ちが強くあります。自分が実施していくだけでなく、このプロジェクトを通じて発信していくことでたくさんの人に自然環境を考えるきっかけを与えられればうれしいです」と語り、スキーノルディック複合の渡部暁斗選手は、「いろんなアスリートの方と手を取り合って気候変動に対して向き合っていくだけでなく、こういう活動の輪をどんどん広げていけたらと思います」と本プロジェクトにおける今後の意気込みを語った。発表会は2部構成で行われ、第2部では、第1部に登壇した参画アスリートに加え、環境問題の専門家や、すでに環境問題に対してアクションを起こすスポーツ団体の方をゲストに迎え、トークセッションを実施した。
登壇アスリート コメント(一部)
井本直歩⼦(競泳)
日本財団さんと一緒にずっとこのプロジェクトを準備してきました。
今日のような華々しいプロジェクトの始動を迎えられたことにワクワクしていますし、ここからスタートできることをうれしく思います。自分には環境問題についての知識がない、周りに声をあげている人がいない、自分が何をしたらいいのか分からない。そういった方がまだたくさんいらっしゃいます。みんなで学び、一緒に声をあげていくことで多くの効果が出せるのではないかと感じているので、日本財団、そしてアスリートやスポーツ団体の皆様と課題解決のために本気の取り組みをしていきたいと思います。
渡部暁⽃(スキーノルディック複合)
仲間がいるというのは心強いことであって、皆さんから受けたインスピレーションを自分の活動に還元したり、自分が協力できることを皆さんに還元したりして、手を取り合って気候変動問題に対して向き合っていきたいですし、こういった活動の輪をどんどん広げていけたらと思います。
都筑有夢路(サーフィン)
サーフィンという自然とすごく密接なスポーツをしていて肌で感じる自然の素晴らしさであったり、海がないとできないスポーツなので海を守りたいという気持ちが強くあります。ごみの分別や、マイボトルの持参、ビーチクリーンなどの取り組みをプロサーファーの一人として自分が実施していくだけでなく、このプロジェクトを通じて発信していくことでたくさんの人に自然環境を考えるきっかけを与えられればうれしいです。
根木慎志(車いすバスケットボール)
ここにいるアスリートは、多くの勉強会・現地視察を経て今日を迎えました。華々しくワクワクする気持ちでいっぱいです。今日登壇している12名のアスリート以外にも参画しているアスリートがたくさんいます。アスリートだけでなく勉強会の中で講師としてお話をしていただいた方や、共に活動するメンバーの方も多くいます。本当に今、環境問題が待ったなしの大変な状態になっているのは、皆さんご存じだと思いますが、こういう時だからこそ、アスリートの力で問題を解決していけるように、今日この日を迎え、まず宣言をし、スポーツ界から大きなムーブメントを起こしていきたいと思います。
「HEROs PLEDGE」プロジェクト始動の背景
世界各地で起きている異常気象。これまでにない猛暑による熱中症の急増や、熱波による山火事の多発、豪雨による記録的な水害など、今、私たちの住む地球で危機的な変化が起きています。また、熱やCO2を吸収し、「気候の調整役」と呼ばれる海でも、ごみによる汚染が進んでおり、これらの環境問題は、私たちの生活にも深刻な影響を及ぼしつつある。これらの問題はスポーツ界にも関係し、2019年のドーハ世界陸上選手権では、暑さにより女子マラソンで4割以上の選手が途中棄権、2021年札幌で開催される予定だったクロスカントリーのレースは雪不足で中止になるなど、普段スポーツを楽しむ私たちやアスリートの競技シーンにも大きな影響を及ぼしている。
海洋汚染や異常気象など、地球規模で広がっているこれらの環境問題の要因の一つといわれているのが、私たちが普段の生活で使用しては捨てている使い捨てプラスチックだ。プラスチックは、生成時、焼却時ともに、異常気象を引き起こす地球温暖化の原因となるCO2を大量に排出する。また日本では廃棄されるプラスチック(廃プラ)の約9割はリサイクルされているといわれているが、約6割は「サーマルリサイクル(焼却時の熱エネルギーを発電などに使う)」という形で実際には焼却処理をされており、焼却時に発生するCO2が地球温暖化に拍車をかけている。また海に流れ着くプラスチックごみの量は、世界で年間800万トンといわれており、海洋ごみの6割超がプラスチックごみという状況だ。海に流れ着くプラスチックごみは、分解されずに海に長くとどまり、生き物たちがエサと間違えて食べ、「気候の調整役」である海の生態系を破壊している。環境問題の解決に向けて、私たちはプラスチックの使い捨てを減らしていくという、根本的な改革が必要だ。
これらの使い捨てプラスチックごみは、日々の生活だけでなく、スポーツシーンからも大量に排出されている現実がある。私たちがスポーツを行う上で欠かすことのできない水分補給は、多くのプラスチックが使い捨てられている。また、競技場に敷かれた人工芝が摩耗して生じるプラスチック片、化学繊維でできたユニフォームを洗濯することで流出するマイクロファイバーなど、私たちがスポーツを行う過程でも大小さまざまなプラスチックごみが発生している。
このままではスポーツどころではなくなってしまうかもしれない
社会課題解決の輪を広げるためのプラットフォームであるHEROsでは、この危機的な状況に対し、まずはスポーツシーンでの使い捨てプラスチックの削減に向けて、社会に影響力を持つアスリートやスポーツ団体が活動を宣言し、周りのアスリートやスポーツ団体、企業、ファン、スポンサーなどさまざまなステークホルダーを巻き込みながら課題解決に向け取り組んでいくことが重要であることから、本プロジェクトが始動した。
“ひとつの目標に向けてひとつになれる力を持つ”スポーツ界では、すでに世界中でさまざまな取り組みが始まっている。2018年、国際オリンピック委員会(IOC)は、使い捨てプラスチックの利用廃止に向け、7つのスポーツ団体(ワールドセーリング、国際陸上競技連盟、国際トライアスロン連合、国際アイスホッケー連盟、ワールドラグビー、国際ゴルフ連盟、国際サーフィン連盟)とともに、スポーツイベントでの使い捨てプラスチック利用廃止に向けた取り組みをスタートした。また今年開催されるパリオリンピックは、競技場へのペットボトルの持ち込みが原則禁止、マラソンの給水所では再利用可能なカップを使用することなどが計画されており、史上初めて“使い捨てプラスチックのない大会”として注目されている。
「HEROs PLEDGE」プロジェクト内容
「HEROs PLEDGE」は、海洋汚染や異常気象など、地球規模で広がっている環境問題の原因の一つである使い捨てプラスチックごみを、スポーツの興行において削減していくために、プロジェクトの参加者を募り、みんなでアクションしながら削減に取り組むスポーツ界横断のプロジェクト。アスリートが起点となり、協会、連盟、クラブチーム、ファン、消費者、企業と共に、スポーツ界から使い捨てプラスチックの削減に取り組む。
本プロジェクトでは、プロジェクト参加をPLEDGE(宣言)したパートナーアスリートに向け、環境問題に関する勉強会や視察会、関連イベントなどの学びの機会を提供するほか、アスリートと一緒に具体的な個別の施策を検討し、実施する。またパートナーアスリートは、個人における使い捨てプラスチックごみの削減の活動をするだけでなく、周りのアスリートやスポーツ団体、企業、ファン、スポンサーに働きかけ、支援の輪を拡大し、スポーツ界から使い捨てプラスチックごみを削減する活動を広げていくほか、パートナーアスリート以外のアスリートや一般・企業の方々も参加できるコンテンツを企画・展開する。本プロジェクトを通し、アスリートやチームから正しい知識とアクションを発信し、海洋ごみ問題や気候変動などの社会課題の解決につなげ、さまざまな人たちがスポーツを安心して実施できるような環境づくりを行っていくとともに、ファン一人一人が、環境問題に対して、アクションを起こすきっかけをつくる。
https://www.heros-pledge.jp/
今後のアクション予定
・一斉アクションキャンペーン(4月13日~5月末)
千葉ジェッツ(Bリーグ)やヴァンフォーレ甲府(Jリーグ)などパートナー団体によるホームゲームでのファン参加型のごみ拾い・分別イベント(計9イベント予定)
・啓発コンテンツの制作、特設サイト・SNS上の展開
・具体的なアスリートの活動
井本直歩子氏:国内バドミントン大会でのごみ廃棄量の計測(Rethink)
一ノ瀬メイ氏:国内パラ競泳大会におけるウォーターサーバーの導入(Reduce)
田渡凌選手:所属する福島ファイヤーボンズ(Bリーグ)での廃棄グッズのアップサイクルとファンへのごみ問題の啓発(Recycle, Advocate)
「HEROs PLEDGE」参画アスリート・団体(2024年3月28日時点)
アスリート(※五十音順 敬称略):
荒井 daze善正(スノーボード)/安藤美姫(フィギアスケート)/一ノ瀬メイ(パラ競泳)/
伊藤みき(フリースタイルスキー・モーグル)/井上康生(柔道)/井本直歩子(競泳)/
岩崎恭子(競泳)/岩下達郎(3×3)/岡田麻央(3×3)/加藤友里恵(トライアスロン)/
近賀ゆかり(サッカー)/櫛橋茉由(フェンシング)/久保大樹(パラ競泳)/五郎丸歩(ラグビー)/
杉本一樹(空手)/杉山文野(フェンシング)/杉山美紗(アーティスティックスイミング)/
高梨沙羅(スキージャンプ)/武知実波(サーフィン)/谷川真理(陸上)/
田渡凌(バスケットボール)/都筑有夢路(サーフィン)/戸邉直人(陸上)/鳥谷敬(野球)/
中川真依(飛び込み)/長嶋万記(ボートレース)/根木慎志(車いすバスケットボール)/
野中生萌(クライミング)/堀由美恵(ボディボード)/真壁伸弥(ラグビー)/
益子直美(バレーボール)/山田明季(ホッケー)/渡部暁斗(スキーノルディック複合)
団体(※順不同):
B.LEAGUE(バスケットボール)/Jリーグ(サッカー)/ヴァンフォーレ甲府(サッカー)/
千葉ジェッツ(バスケットボール)/川崎フロンターレ(サッカー)/鹿島アントラーズ(サッカー)/
日本バドミントン協会(バドミントン)/FC東京(サッカー)/FC今治(サッカー)/
日本セーリング連盟(セーリング)
HEROs Sportsmanship for the futureとは
“HEROs Sportsmanship for the future”は、社会課題解決の輪を広げるためのプラットフォーム。アスリートたちの社会貢献活動を推進することで、スポーツでつながる多くの人の関心や行動を生み出す。共感と行動の輪を広げ、社会課題解決に取り組む人を増やし、社会貢献活動を行うことが世の中の当たり前になっていくことを目指すプロジェクト。
https://sportsmanship-heros.jp/
記事元:PR Times
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