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日本最大級のスポーツ業界求人情報サイトはなぜ、そしてどのように出来上がったのか? ~河島徳基インタビュー/後編~

2017年01月13日 インタビュー Written by AZrena

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 SJNでは、知られざるスポーツの裏側の情報を提供している「AZrena(アズリーナ)」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

 スポーツ界を志望する人がチェックするべき情報サイト「SPORTS JOB NETWORK(SJN)」では、日本最大級のスポーツ求人情報を扱っています。その運営を行う弊社、株式会社RIGHT STUFF取締役の河島徳基のインタビュー記事を掲載していただきました。

 前編では、プロ野球球団での通訳・営業で体感したこと、痛感したスポーツビジネスの難しさについて語っています。後編となる今回は、SJNはどのようにして出来上がったのか、そしてスポーツビジネスを目指す人が持つべきマインドなどについて語っています。

前編はこちら⇒https://sjn.link/news/detail/type/report/id/122

(出典:AZrena『日本最大級のスポーツ業界求人情報サイトはなぜ、そしてどのように出来上がったのか?』2016年12月15日)

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「僕は先輩トレーナーに『何を知っているかより誰を知っているかだ』という言葉を頂いたのですが、これは今も変わらないと思います。ただ、今は誰を知っているかというのもそうだし、何ができるかも求められる時代になってきていると感じています」
(株式会社RIGHT STUFF 取締役 河島徳基)

■プロのビジネスパーソンをスポーツ界へ送る必要性

 阪神タイガースを辞めたのは2005年のオフです。ちょうど球界再編があり、近鉄バファローズがなくなり、ストライキもあった。そこで世の中が「スポーツをビジネスとしてちゃんとやっていかないとまずい」というような感じになったんですよ。正確に言うと2003年以降のことです。

 だけど、素人集団がスポーツビジネスをやるのは大丈夫かな?という不安もありました。そういう危機感があった中で東北楽天ゴールデンイーグルスができました。その時、楽天は営業部員の公募を行ったのですが、8000人が応募をしてきた。8000人の人がやりたいと思っている仕事である一方で、それをそこまでやる気のない親会社からの出向の社員さんがやっている現状があると。

 でも今、世の中がスポーツを、ビジネスをちゃんとやろうという気運になってきている。そういう状況を見たときに、スポーツビジネスの世界もプロの人たちでやらなければダメだよね、と思ったんです。8000人の中から面白い人たちを見つけ出して積極的にスポーツ業界で働かせた方が、業界としては面白くなる。そういう想いもあり、2005年のオフにタイガースを辞めて、今の代表の福田(龍秀)と一緒にSPORTS JOB NETWORKを中心とした、スポーツに特化した人材ビジネスをやろうと決断し、起業をしました。

 代表の福田と初めて会ったのは僕がアメリカにいた時です。大学院を卒業する際に就職活動をしていて、僕が入ったジムを受けた際に『うちに日本人がいるから電話をしてみろ』と言われて。そこで電話をした先が福田でした。福田は筑波大学の大学院でトレーニングの勉強をしていて、彼はアメフトをプレーしていました。

 また、当時ジャパンエナジーというバスケットボールチームがあったのですが、彼はそこでストレングスコーチをしていたんです。アメフトをプレーしながらバスケットボールのチームを見ていたということですね。福田のいたチームにはアメリカ人選手が数人いたのですが 、そのうちの1人がアメリカに帰って、選手専用のトレーニングジムを立ち上げて、そこに福田を呼んだと。そして、そのジムの採用試験を受けようとしていた僕、という形です。だからアメリカ人コミュニティーの中になぜか日本人が2人いる、という状況でした。その後は別れたのですが、阪神にいる間もいろいろとコミュニケーションも取っていました。

■“誰を知っているか”というのも重要だが…

 僕らは両方ともトレーナーをやっていたわけですが、その中で思ったのが“誰を知っているか”というのは非常に重要だということです。ある選手がトレーナーを探すというようになったときに、知り合いからつながっていく。これが良いのか悪いのかは置いておいて、トレーナーという仕事はオープンになっていないわけです。人を多く知っている人がその世界で強くなっていき、技術や実力で決まらないという実情もあるんです。

 だから、スポーツという仕事をもっとオープンにして、いろいろな人にチャレンジをしてもらえる環境をつくれば、いろいろな人がやって来て、業界が多種多様になって活性化していくんじゃないかなと考えています。現場もフロントも全部オープンにしていき、誰でもチャレンジができて、さまざまなバックグラウンドを持った人が入ってくることで業界を活性化させようということで、スポーツに特化した求人情報サイトであるSPORTS JOB NETWORKを2005年に立ち上げたんです。

 先の話にちょっと戻るのですが、アメリカだと企業にはまずインターンから入るという流れがありました。そこで僕は先輩トレーナーに『何を知っているかより誰を知っているかだ』という言葉を頂いたのですが、これは今も変わらないと思います。ただ、今は誰を知っているかというのもそうだし、何ができるかも求められる時代になってきていると感じています。

 その、“誰を知っているか”というところで話をすると、僕はタイガース時代にもひたすら人に会っていました。起業をする前、タイガースでの最後の1年は1軍の通訳をやらせてもらっていたのですが、そうなると遠征であちこち行けるんですよ。僕はもともと東京の育ちだったので、東京で試合があるときにはかなりの人に会っていました。

 実は既に2005年にはタイガースを辞めて起業をしようと決めていて、その状態で開幕を迎えたんです。東京に来て朝の9時から12時くらいまで誰かに会って、起業の準備をしていましたね。例えば、現在株主になってくれている方に話に行ったりとか、スポーツビジネス方面で活躍されている方に会いに行ったりとか。また、人材紹介サービスをやるにあたってのノウハウもなかったんですよね。資格を取る必要性もあって、シーズン中でも水面下で1年間動いていました。

 人脈をつなげていくには、まず知り合いから交流会を紹介してもらってそこに行くという形を取りました 。当時から多少は人脈があったので、そこからさらに広げていったという感じですね。

 そうやって広げていった中でクライアントから求人募集の依頼をもらって、いざサイトに載せると、それなりに応募は来るようになってきました。でも2005年からやっていますが、最も求人が多いのは今じゃないですかね。2008年はリーマンショックがあってどこも大変でしたし、2011年は震災があってスポーツどころじゃないという話があった。ですけど、2020年に東京五輪を控えているのと、ここ10年でスポーツビジネスのプロフェッショナル化ということがどんどん言われ始めてきているので。そういう意味ではSPORTS JOB NETWORKを2005年に立ち上げたのはちょっと早かったかなとも思います(笑)。

■スポーツ界で生き残れる基準は“業界にとって役に立つか立たないか”

 スポーツ系で起業している人もいっぱい見てきて、生き残っている人もいれば、そうでない人もいる。正直、「この人は何がしたいんだろう」と思うこともありました。「起業をしてこんなビジネスをやりたい!」と言っているのだけど、全然腑に落ちないものもありますし、そういう人はいなくなっていきます。僕らがその仕事をやるかやらないかという線引きは、“スポーツ業界にとって本当にそれが役に立つか立たないか”なんですよね。何かしらスポーツに貢献できるもの、という点です。僕は、根底にはそういった想いを持っています。

 とにかく今のスポーツ界は問題だらけだと思うんですよね。噴出しているものもあれば、特に噴出していないけど問題になっているものもあって。そういったものを解決していかないといけないんです。なので、まず一つは、何を解決したいのかというところを考えなければいけない。そして、その問題を解決したらどんな世界になるのかという話をするのもそうですし、どうやって解決するのかも大事ですよね。

 ITが遅れているという問題点もあれば、どうITでスポーツを活性化していくのかということも重要です。「なんでもいいので、スポーツの仕事をしたい!」というよりも、スポーツ界における課題を摘出して、その中からみんなで解決していかないといけない課題を見つけ、どの課題に自分が取り組めるのかというのを考えられる人が必要とされています。

 あとは、スポーツ界が発展していくための大きな要素は、お金なんです。お金が回っていないと発展もできないので、自分が実現したいことをかなえるには、どうやってお金を回していくのか。スポーツで稼いだお金をスポーツに投入してどうやって発展させていくか。そこのレベルに自分を置き換えていかないといけないんじゃないかと思います。

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河島徳基(かわしま・のりもと)
株式会社RIGHT STUFF取締役
学習院大学経済学部卒業後、渡米して大学院で学んだ後、アスリートの専属トレーナーに。帰国後、東京でパーソナルトレーナーを務めた後、阪神タイガースの通訳に。営業部も経験し、2005年にスポーツ特化の人材紹介会社であるRIGHT STUFFを設立。著書に「スポーツ業界の歩き方」がある。
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【了】

竹中玲央奈●文 text by Reona Takenaka

記事提供:AZrena
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http://azrena.com/
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