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太陽光100%で稼働するエコアリーナが誕生! 最新の環境テクノロジーを導入したゴールデンワンセンター

2016年11月02日 コラム Written by 川内 イオ

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 スポーツの世界にも、本格的なエコ&クリーンの流れが生まれるか。その試金石となりそうなのが、NBA(米プロバスケットボールリーグ)のサクラメント・キングスの新拠点、ゴールデンワンセンターだ。

 10月28日、サンアントニオ・スパーズ戦で初お目見えとなった1万7500人収容のこのアリーナは、「サステナブル」をテーマに最新の環境テクノロジーを導入したとして、話題を呼んでいる。

 なんといっても、目玉は太陽光発電システムだ。ゴールデンワンセンターは、700キロワットを発電する設備を有するだけじゃなく、地域の太陽光発電施設と連携し、運営に必要な100%の電力を太陽光でまかなうことができる仕様になっている。アリーナ、スタジアムに太陽光発電を導入し、使用電力の何割かに利用しているスポーツチームはいくつかあるが、地域との連携によって太陽光発電だけで稼働するアリーナは全米で初めてとなる。

 建物の正面は、5~6階建てのビルに相当する高さのガラス窓を設置。オープンすると半屋外のようになり、外気を取り込んで無駄な冷房のエネルギーを削減する省エネ設計でもある。さらに、今後はスタジアム専用アプリによって自分の席の温度を調節できるようになるというから驚きだ。

 深刻な水不足に悩まされているカリフォルニアにあるこのアリーナはトイレなどの節水にも取り組んでおり、同様のアリーナと比較すると年間数百万ガロンの節水を実現した。アリーナの建築資材はアリーナを造る前に建っていたショッピングモールの廃材を利用。アリーナで提供するフードの90%は、アリーナの半径150マイル以内(約240キロ)から調達するなど、アリーナがサステナブルな存在になるような設計になっている。

 建築の世界では、省エネ機能が高く環境負荷を抑えた建築物に対して付与される「LEED(リード)」という建築基準があるが、ゴールデンワンセンターは最上位のプラチナ認証を獲得している。建築物全体におけるプラチナ認証の比率は、世界全体で 6.7%、北米 ではわずか5.5%で、室内競技場としては世界で初めての獲得となる。

 アリーナは、ホテル、レストラン、ショップ、オフィスやコンドミニアムの建設を含む総額10億ドルを投じた周辺一帯の再開発の一環として新設されており、建設も官民パートナーシップで行われ、総工費5億5600万ドルのうち、2億5500万ドルをサクラメント市とカリフォルニア州が融資、残りをオーナーグループが負担した。

 このエコ&クリーンなアリーナが、想定通りの節電、節水等の効果を生み出せば、これから新設されるスタジアムやアリーナの良い先行事例となるだろう。

【了】


川内イオ●文 text by Io Kawauchi

1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。


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