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欧州で全米オープンテニスの視聴者を増やしたい! テレビ局ユーロスポーツのアナログ仰天プラン

2016年09月01日 コラム Written by 川内 イオ

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 スポーツ競技の放映権を持つテレビ局にとって、時差は頭の痛い問題だろう。例えば、リオ五輪の場合、日本とリオデジャネイロの時差が12時間あり、多くの試合が一般的な日本人にとって見づらい時間帯になっていた。

 視聴率が生命線のテレビ局にしてみれば、大金を支払って放映権を得たのだから、できるだけ多くの人に観てもらわないと、採算が合わない。そこで、番組の宣伝を流したり、関連イベントを開催したり、SNSをフル活用するなどして広報に務めるのが一般的だ。
 しかし、さらにもう一歩踏み込んだテレビ局が出てきた。アメリカのスポーツ専門放送局「ユーロスポーツ」が、テニスの全米オープンを放送する際に、ヨーロッパでの視聴者数を増やすために取り組むプロモーションが話題を呼んでいるのだ。

 全米オープンは、ヨーロッパでは深夜に放送される。試合を観たいと思っても、眠気に負けてしまう人が多いのが現実だ。
 そこで、ユーロスポーツが編み出したのが「モーニングコール」。夜中に観たい試合がある人は、特設サイトに電話番号を登録して、試合を指定。同時に、アンディ・マレーや女子の人気選手ガルビネ・ムグルサ、アンゲリク・ケルバーとシモナ・ハレプなどトッププレーヤーの中から、モーニングコールしてもらいたい選手を選ぶ。

 これで、手続きは終了。

 試合開始5分前になると、登録者に電話がかかってきて、指名した選手の、あらかじめ録音されている声でモーニングコール「おはよう! これから私の試合を観てね」を受けるという仕組みだ。ちなみに、モーニングコールは「ストップボタン」を押さないと止まらない。

 システムのコストは明らかになっていないが、なんでもデジタルやテクノロジーに頼りがちな昨今、「視聴希望者に電話をかける」というアナログ的な手法が、逆に目新しい。
 他のスポーツにも横展開可能な戦略だけに、このモーニングコール作戦の結果に注目している企業は多いだろう。

【了】


川内イオ●文 text by Io Kawauchi

1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。


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