リバプールがコーナーキック戦略を担うAI技術「TacticAI」を共同開発。ゴールにつながる最適化した戦術を提案
2024年04月03日 コラム テクノロジー/デジタル Written by 川内 イオ
![](https://d2a0v1x7qvxl6c.cloudfront.net/files/sbo.cs-park.jp/report/491/1982595690660650647be48.jpg)
グーグルのAI研究機関DeepMind(ディープマインド)は、イングランドのサッカープレミアリーグに所属するリバプールと協力して、コーナーキックの戦略についてコーチにアドバイスできるAIシステム「TacticAI」を共同開発した。
AI によって過去のデータを分析し、将来起こり得ることを予測する技術と、過去のデータから新しい情報を創出する生成 AI の技術を使用している「TacticAI」は、試合中の意思決定にも使用できる戦術的な洞察を提供する。
プレミアリーグの各試合では、平均して10回のコーナーキックが行われている。「TacticAI」はリバプールの過去7176回のコーナーキックから、どの選手がボールを受ける可能性が高いか、どの選手がシュートを試みる可能性が高いかなど、ゴールの確率を高めるためにどのような調整を行うことができるかを分析。過去の試合と類似するシチュエーションを検索したり、さまざまなシチュエーションでシミュレーションできる機能を持ち、ゴールにつながる最適化した戦術を提案するという。
今年3月19日に学術誌『Nature Communications』で発表された論文によると、実証実験でリバプールの専門評価者は90%の確率で「TacticAI」の戦術を採用した。専門評価者とはデータサイエンティスト3名、ビデオアナリスト1名、コーチングアシスタント1名を指す。
このプロジェクトは、スポーツ分析におけるAIの利用を推進し、ピッチ上でのチームのパフォーマンスを向上させ、ビジネス全体に幅広い利益をもたらすことを目的として、2021年に署名されたリバプールとディープマインドの間の広範なパートナーシップの一部として行われた。これまで2本の論文が発表されており、第3弾がコーナーキックに特化した「TacticAI」になる。
「TacticAI」がすでに現場で導入されているのかは不明だが、今後、サッカーの現場にもAIの導入が進むのは確実だろう。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『稀食満面 そこにしかない「食の可能性」を巡る旅』が発売。https://amzn.to/3UBIJxl
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