アメリカの動画配信サービス「Peacock」がNFL史上初めて第4クォーターをCM無しで放送
2023年12月28日 コラム メディア/放映権 Written by 川内 イオ

アメリカの三大ネットワークの一つ「NBC」の動画配信サービス「Peacock」は、ナショナルフットボールリーグ(NFL)の放送が始まって以来初めて、CMなしで第4クォーターを放送すると発表した。
対象となるのは、「Peacock」が独占配信する、12月23日のバッファロー・ビルズ対ロサンゼルス・チャージャーズの「ピーコック・ホリデー・エクスクルーシブ」ゲームと、1月13日のワイルドカード・プレーオフ。
アメリカンフットボールの試合は60分間で、15分ごとに4分割されて争われる。最初の15分を第1クォーターと表し、最後の第4クォーターは試合結果に直結する大きな山場だ。ファンの注目度が高い時間帯であるだけに、第4クォーターには必ずスポンサーのCMが差し込まれていた。
2023年5月、NBCはこの試合の放送に1億1000万ドルを支払っていると報じられており、第4クォーターにCMを流さないというのは大胆な決断だ。CMにわずらわされないファンにとっては、朗報だろう。
「Peacock」は2020年7月15日にサービスを開始して以来、加入者数を伸ばしており、2023年8月の時点で2800万人に達している。その収益は前年同期比 64% 増の 8 億 3000 万ドルに上るが、まだ黒字には程遠く、ストリーミング損失は5億6500万ドルとされる。
加入者増の主な要因がスポーツコンテンツのポートフォリオの拡大で、稼ぎ時の第4クォーターにCMを流さないのも「Peacock」の加入者を増やすための一手である。この策が当たれば、今後、第4クォーターCMなしの放送が増える可能性もある。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『稀食満面 そこにしかない「食の可能性」を巡る旅』が発売。https://amzn.to/3UBIJxl
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