スポーツ界の巨人レッドブルが「GoPro」と提携 期待される“スポーツ×映像”の新たな試み
2016年06月18日 コラム マーケティング/プロモーション/ブランディング Written by 川内 イオ
ウェアラブルのアクションムービーカメラ「GoPro」が苦戦している。今年1月13日には、売り上げ不振によって7%の人員削減を発表。5月に入って公表した2016年1~3月期決算の売上高は、前年同期比50%減の1億8300万ドル(約196億円)で、最終損益は1億700万ドルの赤字に陥った。株価は2014年の新規株式公開(IPO)以降、82%下落している。
2013年2月の日経テクノロジーオンラインで「デジカメの革命児『GoPro』、300万台超を売った人気の秘密」(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130221/267332/)という記事がアップされているように、2年前にはスマホの普及によって暗雲立ち込めるカメラ業界の新星としてもてはやされていた。
わずか2年での評価と売り上げの落差は、まさに「GoPro」で撮影されたアクション動画のようなスピードを感じさせるが、ジェットコースター並みに売り上げも株価も急降下したGoProが、新たな浮揚策を打ってきた。5月24日に、レッドブルとの複数年に及ぶグローバルパートナーシップを締結したのである。レッドブルは、世界100カ国以上で1800を超えるイベントを開催しており、エクストリームスポーツを中心に、スポーツ産業にとっても巨大なスポンサーとして知られる。
今回のプレスリリースによると、この契約には、コンテンツ制作、配信、クロスプロモーション、製品イノベーションなどが含まれ、レッドブルの公式映像としてGoProが使用される。また、レッドブルはお手頃価格になったGoProの株式も取得した。
このパートナーシップ契約に「レッドブル、GoProに翼を授ける」とタイトルを付けたロイター通信の記事によると、24日のGoProの株価は5.4%アップ。レッドブルは、YouTubeやアップルTV、プレイステーションなどで公式映像を配信しており、公式映像にGoProのロゴが掲載されるようになれば、今後の露出効果も少なくないだろう。
GoProは、現在、動画撮影用ドローン「Karma」を開発中。詳細は明らかにされておらず、既存のドローンとの性能の違いはまだ分からないものの、レッドブルとGoProのコラボレーションは、“スポーツ×映像”の楽しみ方を広げる可能性がある。
日本のカメラメーカーも続々とムービーカメラを発売しているが、ユニークなスポーツとコラボレーションをしたり、人気スポーツの観戦方法に新たな選択肢を提供するなどしてGoPro&レッドブルに対抗してほしい。それがスポーツとカメラ、両方の業界の活性化にもつながるはずだ。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
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