実在の競走馬をNFT化&所有するユーザーがレースで賞金を稼げる競馬ゲームが登場
2023年03月31日 コラム テクノロジー/デジタル Written by 川内 イオ
今年3月、フランス場外馬券発売公社(PMU)が現実に存在する競走馬をNFT(代替不可能なトークン/所有証明書付きのデジタルデータ)化したゲーム『Stables』をリリースした。
PMUがパリのスタートアップ321foundedと共同開発したこのゲームでは、フランスの競馬統括機関であるFrance GalopとLe Trotのライセンスを受けた現実の馬を表すNFTを99ユーロで販売。購入したユーザーが調教して仮想レースに出走し、好成績を収めれば報酬を得ることができる。各NFTは過去10年間のレース履歴を利用して開発されたアルゴリズムに基づいている。今年3月27日に6666個のNFTの販売が始まり、24時間で4700個が売れた。その後、3月30日午前7時の時点で6400個が売れている。
日本では『ダービースタリオン』など競走馬育成シミュレーションゲームがあるが、『Stables』は実在の競走馬が登場し、レースで実際に賞金を得られるゲームと捉えれば分かりやすいだろう。
現時点では、France GalopとLe Trotのライセンスを受けた競走馬だけがNFTの対象になっているが、PMU は2024年初頭までに世界中の馬やレースが登場する国際的なゲームとして展開する計画を立てている。もしJRA日本中央競馬会が『Stables』に参加すれば、日本の実在の競走馬の仮想オーナーとしてレースに参戦することができるようになるわけだ。
同様のゲーム『Game of Silks』は2022年4月にスタートし、2022年12月にニューヨーク競馬協会と提携した。こちらもニューヨーク競馬協会に所属する競走馬をNFT化し、NFTを購入したユーザーが調教してレースに臨む。
『Stables』や『Game of Silks』が現実の競馬界とどのような相乗効果を出すのか、注目だ。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『稀食満面 そこにしかない「食の可能性」を巡る旅』が発売。https://amzn.to/3UBIJxl
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