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人気沸騰の「インディアン・プレミアリーグ」  メディアは女性ファンの開拓に着手!

2016年05月28日 コラム Written by 川内 イオ

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 インドで熱狂的な支持を得ているクリケットのプロリーグ「インディアン・プレミアリーグ(IPL)」。その人気はとどまることを知らず、試合をストリーミング放送しているアプリ「Hotstar」のユーザー数はうなぎのぼりだ。

 今年のリーグ戦は4月9日に開幕し、5月29日に幕を閉じる。この原稿執筆時点(26日)では27日と29日に2試合残しているにもかかわらず、ビジネス系ウェブメディア「Business-Standard」によると、「Hotstar」のユーザー数は昨年の3500万人から8000万人にまで増加。29日のシーズン終了までに、1億ユーザー達成を目指しているという。

 昨年、リリースされたばかりの「Hotstar」の運営元は、インド最大のメディア、エンターテインメント企業のスター・インディア社。視聴者を獲得するために、スマートフォンにダウンロードしたアプリでの視聴を可能にした戦略が大当たりした。大ヒットの理由の一つは、試合のライブ中継をしているだけでなく、試合の前後とイニング間に試合の分析を放送していること。これによって視聴者をアプリ上につなぎ留めた結果、IPLの視聴時間数も昨年から60%増加しておいる。

 このアプリの強みは、ユーザーの性別、年齢層などの属性データを集約していること。「Hotstar」のデータによると、ユーザーの80%は34歳以下、そのうちの50%は15歳から24歳で、都市部に在住している。
 購買意欲旺盛なこの層にアプローチしたい企業は多く、今シーズンの「Hotstar」には4社のスポンサーが付き、広告を出稿している企業は別に5社ある。今シーズンの視聴者数の増加を見れば、来シーズンはさらにスポンサーや広告出稿が増えるのは確実だろう。

 ストリーミング放送に視聴者を奪われたくないテレビ局による新しい動きも出てきている。これまでクリケットのファン層は男性が大半を占めていたが、最近では、テレビの解説者として元インド女子代表キャプテンや、イングランド、オーストラリア女子代表の元投手を起用するなどして、女性ファンの開拓を狙っているのだ。
 メディアの戦略とは別に、インドの人気女優プリーティ・ジンタがIPLに所属するチームの共同オーナーを務めていることもあって女性の関心も高まっており、女性ファンの増加を取り上げたAFPの記事は「現在、インドの全女性のうち30%がクリケットを観戦するようになっている」というIPLスポンサーのコメントを紹介している。

 インドの人口は13億1000万人(2015)で、2022年までに14億人に達すると予想されており、IPLと関連企業にとって、女性を含めればまだまだ市場開拓の余地はある。インドで拡大するクリケットビジネスの動向に注目だ。

【了】


川内イオ●文 text by Io Kawauchi

1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。










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