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中国市場拡大に乗り出す総合格闘技団体「UFC」、中国のニュースアプリ大手と提携してコンテンツ配信へ

2019年03月29日 コラム Written by 川内 イオ

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 八角形の金網のリングで戦う総合格闘技の団体「UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)」。1993年11月に第1回大会が行われてからその人気はうなぎのぼりで、現在は年間40回以上の興行を主催し、その模様を160以上の国と地域で11億以上の世帯に放送している。

 UFCはさらに市場を広げるために、中国進出に乗り出している。現在、1300万ドルを投じてUFCのアジア本部を兼ねたUFC最大のトレーニング施設を上海に建設中。広さ約8640平方メートルの施設は、ラスベガスにあるUFCパフォーマンス研究所の倍の規模になる。この施設には、ラスベガスと同様のUFCパフォーマンス研究所のほか、総合格闘技全般のトレーニング施設も入る見通しで、総合格闘技のコーチ、栄養士、理学療法士、スポーツ科学者が常駐。施設内に観客席も備え付けており、大会も開催できる。

 現在、UFCに参加している中国人の格闘家は10人で、UFCの大会も2017年と2018年に各1回、計2回しか開催されていない。しかし、UFCは中国全土をカバーする10社以上のローカルテレビ局と放映契約を結んでいるほか、大規模な大会の際には中国の動画サービスPPTV、eコマース大手アリババのスポーツ部門である Alisports(阿里体育)で配信しており、中国人は世界各地で行われているUFCを気軽に観戦できる環境にある。

 このマーケティング戦略によって、中国人のUFCファンは既に2億人いるとしており、過去数年間で中国における収益はグローバルで20位から5位にまで急上昇している。UFCはこの人気をさらに拡大するために、2019年中にオープンする新施設を拠点にして、中国人の格闘家を75人まで増やす計画を立てている。

 2019年3月には、昨年、ニューヨークのナスダック市場に上場した中国のニュースアプリ大手「Qutoutiao(趣头条)」とコンテンツパートナーシップを締結。月次平均で6200万人のユーザーに大会のハイライトや選手に焦点を当てたインタビューなどを配信することで、UFCとの接点を増やしていく狙いがある。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N


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