全米初の「キャッシュレススタジアム」が登場 タンパベイ・レイズの本拠地で今季から現金不要に
2019年02月07日 コラム 施設 Written by 川内 イオ
全米初の「キャッシュレススタジアム」が登場する。メジャーリーグ(MLB)に所属するタンパベイ・レイズの本拠地、トロピカーナ・フィールドがその場所だ。
今シーズンから、トロピカル・フィールドでは現金での支払いができなくなる。使用できるのは、主要なクレジットカード、タンパベイ・レイズが発行しているギフトカード、アップルペイやサムスンペイなどのモバイルペイメント、シーズンチケット所有者が持っている「レイズカード」。電子決済を所有していない、あるいは使用したくない観客は、全ての小売店で販売している10ドルと20ドルのギフトカードを購入することになる。
これに先立ち、レイズはハイテクベンチャーのE15と組んでキャッシュレスシステムを導入した場合のシミュレーションテストを実施。これまで現金払いと電子決済が可能だった小売店と電子決済のみの小売店では、やり取りに要する時間が最大で半減すると発表している。
キャッシュレスのメリットは他にもある。営業時間後のレジの現金確認は不要になり、ファンがどの電子決済手法を選び、何を買ったのか、球場内で売買される全てのデータを集められるようにもなる。データを分析すれば、ファンが何を求めていて、何を求めていないかも明らかになる。将来的には、球場内にセルフサービスで飲食できるバーを設けることも可能になるそうだ。
キャッシュレス化によって「ファンのエクスペリエンスを高めることができる」とコメントしているレイズ。記念すべきキャッシュレス化の初日は2月9日、トロピカル・フィールドで開催されるファンフェスタだ。イベント自体は無料だが、球場内での売買に関しては全てキャッシュレスになる。
E15によると、すでに他の球団もキャッシュレス化の導入テストを始めており、近い将来、キャッシュレス球場が続々と生まれそうだ。レイズの取り組みは、その試金石となる。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N
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