ユーロリーグの選手協会が「スマートユニフォーム」の着用に合意
2019年02月02日 コラム テクノロジー/デジタル Written by 川内 イオ

ヨーロッパのプロバスケットボールリーグ「ユーロリーグ」で、新しい試みが始まる。生中継される試合でセンサー搭載のスマートユニフォームを着ることに選手協会が合意した。これは、2018年6月に設立された選手協会が投票で決定した最初の案件になる。
このデータを取り扱うのは、HEEDというニューヨークのテクノロジー企業。IoTアナリティクスとAIを駆使して、これまでにないデータを視覚化することでファン参加型の新しい仕組みをつくっている。同社は「ユーロリーグ」とパートナーシップ契約を結んでおり、これまでにもさまざまなテクノロジーを用いてコラボレーションしてきた。
同社は昨年4月のユーロリーグのプレーオフに合わせて、無料アプリをリリース。現在すでにセンサー、カメラ、AIなどを使って視覚的およびグラフィカルな方法でアプリを介して統計情報を配信している。例えば、「最も到達点の高いダンクをした選手」「ゲームの最も盛り上がった瞬間」などについてファンのスマホにリアルタイムで配信している。
今回の合意により、センサーは選手がユニフォームの下に着用しているシャツに埋め込まれる予定。このセンサーにより、例えばプレッシャーのかかるシーンで選手の心拍数がどのように反応しているかが分かるとされる。そのデータがより分かりやすくビジュアル化されて、HEEDのアプリにほぼリアルタイムで配信される見通しだ。
アメリカのスポーツ界はセンサー搭載でも先行しており、NFLのプレーヤーは、過去数年間、肩のパッドにZebra TechnologiesのRFIDチップを装着している。また、NHLは現在、プレーヤーのショルダーパッドとホッケーパックにチップを入れるトラッキングシステムをテストしている最中だ。
スポーツ業界でウェアラブルウェアやセンサー搭載の器具が浸透すれば、これまでとは違う視聴体験ができるようになるだろう。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N
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