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プロレーサーとファンがレーシングゲームで対戦! フォーミュラEの野心的な取り組み

2016年02月03日 コラム Written by 川内 イオ

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 「FIA フォーミュラE選手権」をご存じだろうか。国際自動車連盟(FIA)の主導で、フォーミュラEホールディングス(FEH)が運営する2014年9月に始動した電気自動車のレースで、「E」は“Electric”を表す。

 F1などと同じように世界各地で開催されているものの、まだそれほど認知度も人気も高くはない。そこで、新しいファンを獲得するために、先進的な取り組みを始めている。
 今年1月23日、FEHはロンドンで初めてレースとは別にファンとの交流を目的にしたオフイベントを開催した。このイベントには、フォーミュラEの現役レーサーの2人、元F1チャンピオンであるアイルトン・セナのおいにあたるブルーノ・セナと、同じく元F1チャンピオンであるアラン・プロストの息子のニコラス・プロストも参加した。

 この日のメインイベントに位置付けられたのは、ゲーム機「Xbox One」のモータースポーツゲーム「Forza Motorsport 6」を使ってのブルーノ・セナとニコラス・プロストの対決で、ファンはプロレーサーの視点でレースを体感したが、実際のところ、それは前座に過ぎない。

 イベントの目玉はなんといっても、2人のレーサーとファンが対決できること。まず、イベント参加者の中から希望者が、ゲームの中にあるカリフォルニア州ロングビーチの公道コースでタイムレースを行い、上位16人が準決勝に進出。さらにもう一度タイムトライアルを行い、上位3人が2人のレーサーに挑んだ。決勝で走るのは、今回のイベントのためにFEHが用意した、リオデジャネイロの公道を走る架空のコースだ。

 レースの結果、ニコラス・プロストは7位、ブルーノ・セナは8位で、ファンが上位を占めた。準決勝と決勝の模様はFEHの公式サイトとYouTubeチャンネルで公開され、「motorsport.com」などのウェブメディアは、大いに盛り上がったと伝えている。

 フォーミュラEのCEOは、今回のイベントを「若年層の関心を引くための手法」と位置付けており、今後も継続して同様のイベントが開催される見通しだ。近年、バーチャルリアリティー・ゲームに注目が集まっている中で、最新のテクノロジーを取り入れたFEHの取り組みは、ほかのスポーツでも大いに参考になるだろう。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取 材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。


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