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選手獲得から大学との提携まで。バイエルン・ミュンヘンの北米戦略

2018年12月30日 コラム Written by 川内 イオ

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 今年7月、ドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンがカナダ代表FWの18歳、アルフォンソ・デイビスを獲得した。イギリス『スカイ・スポーツ』によると、移籍金は約1400万ドルで、出来高で最大約2400万ドルになる。

 FCダラス(メジャーリーグサッカー)の育成組織からレンタルしていた、現在18歳でU-20アメリカ代表のセンターバック、クリス・リチャーズは、今年12月、移籍金125万ドルで獲得に動いていると報じられた。

 バイエルン・ミュンヘンがなぜ北米の若手に触手を伸ばしているのか。もちろんグローバルにアンテナを張って才能豊かな選手を発掘しているのだろうが、それだけではない。バイエルン・ミュンヘンは、北米マーケットの開発に力を注いでいるのだ。

 同クラブは欧州のクラブのなかでも特に早い時期、2014年にニューヨークにオフィスを開設。アメリカのファンのために、特設のウェブサイトやモバイルアプリ、オンラインショップ、各種ソーシャルメディアチャンネルでクラブの情報を発信してきた。

 トップチームがプレシーズンにアメリカで試合をするアウディ・サマーツアーも定着。今年はマイアミとフィラデルフィアで試合を行ったが、6万人の観客を集め、グローバルではおよそ1200万人が観戦した。

 その他にも、各地でサッカーキャンプを開催したり、さまざまなイベントを開いたりしてきた結果、今やSNSのフォロワーは北米だけで約25万人に及ぶ。

 2018年10月には、スポーツが盛んでサッカーにも力を入れているデンバー大学とパートナーシップ契約を締結。2015年から提携し、共同でさまざまなプログラムを運営しているコロンビア大学に次いで、大学との連携も進めている。

 2014年、ニューヨークのオフィスのスタッフはマネージングディレクター、ルドルフ・ビダル氏ひとりだったが、現在は北米とラテンアメリカをカバーするスタッフが10人いる。クラブは、それだけの価値とポテンシャルを認めているのだろう。

 大きな成果を出しているバイエルン・ミュンヘンの戦略は、アジア進出を掲げるJリーグのクラブにとっても参考になるはずだ。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N


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