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最新スタジアムが完成したリヨン、配車サービス「Uber」と提携

2016年01月27日 コラム Written by 川内 イオ

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 「パルク・オリンピック・リヨン」
 今年に入って完成したばかりの、サッカーフランス1部リーグに所属するオリンピック・リヨンの新しいホームスタジアムは「欧州で最もコネクテッドなスタジアム」と称されている。無料Wi-Fiが設置され、スタジアム専用アプリをダウンロードすると、試合中に飲食物やグッズをオーダーできるのだ。この最新のスタジアムで、リヨンが欧州初の珍しい取り組みを始めて、話題を呼んでいる。

 いま、世界を席巻しているアプリを使った配車サービス「Uber」との提携を発表したのだ。Uberは、どこかに車で移動したい人とUberの登録ドライバーをマッチングするプラットフォームで、シリコンバレーで生まれて創業6年目にして世界67カ国、360都市にまで事業を拡大させている。

 このサービスは、タクシー会社にとって脅威となるため、世界各地で物議を醸しており、フランスも例外ではない。タクシー運転手によるUberへの抗議デモが起こり、昨年6月にはフランスUberのCEOとヨーロッパUberのゼネラル・マネージャーが違法タクシー営業の疑いで逮捕された。
 二人の審理は今年2月11日に開かれる予定だが、Uberに対するこの逆風の中で、あえて提携する道を選んだリヨンの選択は、「コネクテッド」がキーワードになっている。

 Uberとの連携は既にスタートしており、1月24日にパルク・オリンピック・リヨンで行われたマルセイユ戦では、Uberのドライバーが観客を降ろしたり、ピックアップするための専用エリアが設けられた。また、今後はスタジアム専用アプリで、Uberを呼び出せるようになるという。
 フランスの複数メディアによると、リヨンの商業マーケティング&戦略担当の副CEOは、「Uberは、このスタジアムを訪れる観客の移動の手配を最適化し、容易にするためのテクノロジーの拡大に貢献してくれる」とコメントしている。

 リヨンの決断は、今年6月にフランスで開催される欧州選手権(EURO)2016を見越してのものだ。
 フランスでタクシーを利用する場合、タクシー乗り場から乗るか、ホテルで呼び出してもらうのが一般的で、特に観光客にとっては不便な上に、遠回りされるなどの被害に遭う場合もある。Uberであれば、アプリをワンクリックするだけで車を手配でき、行き先もアプリで登録するので、フランス語が分からなくても問題ない。また、乗車後にドライバーの評価もできるので、何かの被害に遭う可能性も低く、EURO観戦に訪れる観光客にとっては非常に便利なサービスになっているのだ。

 市内からスタジアムの往復で最低50ユーロはかかるようだが、3、4人でシェアすれば1人あたり15ユーロ前後に抑えられるので、観光客に限らずニーズは多いだろう。
 「欧州で最もコネクテッドなスタジアム」の先進的な取り組みは、今後どういう展開を見せるのか、注目だ。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取 材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。


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