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企業とアスリートの関係 vol.3「ユーグレナ」(前編)

2018年11月17日 インタビュー Written by Sports Japan GATHER

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 SJNでは、アスリートのための、応援メディア「Sports Japan GATHER(ギャザー)」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ、そしてアスリートに注目が集まる中、企業とアスリートの関係にも変化が生まれています。双方にとってメリットのある関係を築くために、何が必要なのでしょうか? 

 特集「企業とアスリートの関係」では、選手やスポーツ事業を支えている企業人に話を聞いていきます。

 今回は、ミドリムシを活用した食品、機能性食品、化粧品の製造・販売を行っている『ユーグレナ』。60歳を超えて再就職を果たしたパラアーチェリー選手の服部和正さんと、服部さんを採用した管理部総務人事課チームリーダー石川久美子さんに、選手と企業が「Win-Win」の良好な関係性を築くために必要なことを聞きました。

(出典:Sports Japan GATHER「企業とアスリートの関係「ユーグレナ」(前編)」2018年7月3日)

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パラアーチェリー選手の服部和正さん(左)と、採用した管理部総務人事課チームリーダーの石川久美子さん(右)

■最高齢での就職活動
 日本オリンピック委員会(JOC)が行っているアスリートのための就職支援ナビゲーションシステム『アスナビ』。2017年、それを活用してアスリートとして再就職の道を切り開いたのが、定年退職をした当時60歳の服部和正さん。2020年東京パラリンピックを目指す、日本トップのパラアーチェリー選手だ。

 これまでの前例を覆し、60代という『アスナビ』史上最高齢で企業とのマッチングを実現させた服部さん。パラアーチェリーの競技歴は約30年というベテランで、パラリンピックを目指し、本格的に競技に取り組み始めたのはちょうど50歳を迎えた時だった。

「49歳の時に、一時期だけ日本ランキングでトップになったことがあったんです。結局、最終的には4、5位くらいに落ちてしまったのですが、それでもトップに立った時の気持ち良さが忘れられなくて……。上を目指して頑張ってみようかな、という気持ちが湧いてきました」

 2007年には、世界選手権に出場する予定だった日本代表選手が入院することになり、急遽、服部さんが繰り上げで世界の舞台に立つことになったが、結果は散々だった。

「足が震えるってこういうことかと思いました。もうガタガタでまったく勝負にならなかった」という。しかし、この経験が彼の闘志に火をつけた。

『もう一度、この舞台に戻って勝負したい』

 それ以降、2年に一度の世界選手権に出場するほどのアスリートとなった。しかし、2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと、パラリンピックの出場権を獲得することができなかった。だからこそ今、東京への想いは強い。

■前例のない「奇跡的な出会い」
 そんな中、2017年2月に36年間勤めた保険会社を定年退職。それまでは週に5日勤務し、仕事を終えた夕方からの数時間が貴重な練習時間だった。合宿や海外遠征には、有給休暇を消化。だからこそ、定年退職後はアスリートとしての時間を最優先させてもらえる環境を求めた。

「同じアーチェリー仲間には、アスナビで就職先を見つけた選手がたくさんいたので、自分も応募してみようかなと思ったのがきっかけでした」

 しかし服部さんは、60歳を過ぎた自分を支援してくれる企業など、なかなか見つからないという気持ちもあった。実際、採用を考えている企業の前で行うプレゼンテーションに、一緒に参加したのは20代の若者ばかり。まさに“異色の存在”だった。

 ところが、その場に服部さんを目当てに来ていた企業があった。微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)などを活用した食品、機能性食品、化粧品の製造・販売を行っている研究開発型企業の『ユーグレナ』だ。

 平均年齢が35歳と若手が多くを占める同社では、人事部において対応スキルが不足しているという課題を抱えていた。そこで、前職の人事部としての豊富な知見と経験を持ち、かつ障がい者雇用も兼ね合わせることができる人材を探しており、服部さんはまさに「適任者」だったのだ。

「奇跡が起きたと思いました!」と語るのは、ユーグレナ管理部総務人事課チームリーダーの石川久美子さん。

「アスナビのご担当者に相談した当初は『前例がないだけに、ちょっと難しいかもしれません』と言われていたんです。ですから服部さんについてご連絡をいただいた時には、うれしかったですね。実際にプレゼンテーションを聞いて『この人だ!』と思いました。さすがは36年間勤めあげられた大先輩だけあって、もちろんスキルもしっかりされていたんです」

 一方、ユーグレナから採用の話を聞いた服部さんもまた、驚きを隠せなかったという。

「正直『本当に私でいいの?』と思いましたよ(笑)。でも、長いこと人事担当でしたから、会って少しお話をすると、相手がどんなことを考えて、どういう方なのかということは、ある程度分かるんです。石川さんたちに最初に会った時、本気で私を必要としてくれていることが伝わってきました。ですから、迷いはありませんでした」

(後編へ続く)⇒https://sjn.link/news/detail/type/report/id/253

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[PROFILE]
服部和正(はっとり・かずまさ)
1957年2月21日生まれ、岐阜県出身。2013年ジャパンパラアーチェリー競技大会での優勝をはじめ、同年のパラアーチェリー世界選手権出場、2014年仁川アジアパラ競技大会出場、2017年全日本社会人ターゲットアーチェリー選手権大会8位など、国内外の大会で活躍。2017年2月に36年間勤めた保険会社を定年退職後、同年11月にユーグレナへ入社。2020年東京パラリンピックの出場を目指す。
HP:ユーグレナ
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【了】

取材・文=斎藤寿子
記事提供:Sport Japan GATHER

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