MLBのシカゴ・カブスが、独自のチャンネルの設立に動く
2018年09月06日 コラム メディア/放映権 Written by 川内 イオ
アメリカのメジャーリーグ(MLB)に所属するシカゴ・カブスが、独自のチャンネルの設立に動いているようだ。アメリカの複数メディアが報じている。
報道によると、カブスは現在テレビ放映権を提供しているNBCスポーツシカゴとの契約が切れる2019年以降、パートナーシップを解除する意向で、既に独自のチャンネルを設立するために、NBAのミルウォーキー・バックスの元COOで、メディア配信事業を行っているMSG NetworkのCEO、マイク・マッカーシーを雇い入れている。
カブスの現オーナーは、2009年、8億4500万ドルで買収したシカゴの富豪リケッツ家。リケッツ家はチームの収入を最大化するために下部組織の整備、球場の改修、球場周辺の土地の買収など惜しみなく投資してきた。その結果、2016年、チーム創設から100年以上を経て初めてワールドシリーズを制した。その時のチームには日本人の川崎宗則選手もいたから、覚えている人も多いだろう。
今回の動きで興味深いのは、カブスがNBCスポーツシカゴの株式の20%を持っていることだろう。ちなみに、残りの80%はシカゴの他の3つのプロクラブ、シカゴ・ホワイトソックス(MLB)、シカゴ・ブルズ(NBA)、シカゴ・ブラックホークス(NHL)とスポーツ専門チャンネル、NBCスポーツ・グループが所有している。2004年に始まったこの5社の契約が切れるのが2019年なのだ。
NBCスポーツシカゴは交渉継続中と発表しており、真相はまだわからないが、カブスは平均観客動員数約4万人を誇るメジャー屈指の人気球団。それもあって、メディアと地元プロクラブの連携から抜け出し、独自で収益化の道を探るのだろうか。既にディズニーやNBCスポーツが提携に興味を示しているとも報じられている。
ちなみに、MLBではニューヨーク・ヤンキースがいちはやく2002年に独自の球団専門チャンネル「YESネットワーク」を立ち上げているが、現在はメディア大手21世紀フォックスの傘下に入っている。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N
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