ネイマールの転がる演技効果でKFCの広告が200万回再生越え!【ロシアW杯のアンブッシュマーケティング事例】
2018年08月07日 コラム マーケティング/プロモーション/ブランディング Written by SPODIGI
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今回は、FIFAワールドカップ・ロシア大会における、南アフリカKFCのアンブッシュマーケティング事例をご紹介します。
(出典:SPODIGI『ネイマールの転がる演技効果でKFCの広告が200万回再生越え!【ロシアW杯のアンブッシュマーケティング事例】』2018年7月24日)
※画像:https://www.youtube.com/watch?v=SP14zlGmvSQ より引用
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2018年ロシア・ワールドカップは、フランスの20年ぶりの優勝で幕を閉じた。一方で、優勝候補であったブラジルのエース「ネイマール」はそのプレー以上に、ダイブやシミュレーション、大げさな演技で注目を集めた。
一度獲得したPKをVAR(審判補助システム)によって取り消されたり、転んでいた時間が4試合で「14分」を超えていたというデータも出ている。さらには、世界中の子ども、大人、スポーツチームのマスコットまでもがネイマールのまねをする「ネイマールチャレンジ」がYouTubeやSNSに投稿されブームとなっている。
しかし、実はこのネイマールの転がる演技によって恩恵を受けた企業がいる。南アフリカKFCだ。
ネイマールの転がる演技が世界中で話題となったことで、ロシア・ワールドカップの「開幕前」に作成した動画広告の再生回数が200万回を超えて、世界中で大きくバズっている。「おもしろい!」「最高だ!」「まさにネイマール!」などのポジティブな声も多く聞こえるその広告がこちらだ。
ある選手がファウルを受けるとそのまま転がり続けて、スタジアムを飛び出す。それをカメラが追いかけて中継されながら、街中を転がり最終的にはKFCの店舗にたどり着くというもので、KFCの期間限定商品のプロモーション広告となっている。
非常にユニークでおもしろい広告であるが、重要なポイントが2つあると考察する。
■W杯で有名なシーンになると予想した広告
1つ目のポイントは、選手がシミュレーションを行ったり、大げさに転がって審判を欺こうとする行為自体が、サッカーの世界ではよく見る光景となっていることを把握した上で、広告に取り入れたことだ。
この広告はロシア・ワールカップの「開幕前」の2018年6月15日に公開となっていることから、実際にそういったシーンがワールドカップで見られることを予想して作成されていることが分かる。その予想が見事当たり、ネイマールという世界的なスター選手が大げさに転がる演技で注目を集めたことで、広告が「ネイマールと似ている!」ということで話題となり、200万回再生と大きく拡散させることに成功した。
広告を作成した南アフリカの広告代理店「Ogilvy Cape Town」のSafaraaz Sindhi は「審判を欺こうとするダイブやシミュレーションといった行為は、ワールドカップの舞台で頻繁に起こることは分かっていた」と述べており、このシーンをベースに立てて作成された広告であることが分かる。
このように、そのスポーツでよく見られるシーンを広告に織り込むことで、そのスポーツのファンに親近感を持ってもらえる。結果として、広告としての効果を最大化させることができ、ブランドイメージを向上させ売上UPに繋げることができる。スポーツを活用した広告を作成する上では重要な視点だ。
■W杯のスポンサー以外の企業が行うアンブッシュマーケティング
2つ目のポイントは、南アフリカKFCはワールドカップのスポンサーではないにもかかわらず、ワールドカップを連想させる広告を作成し、大きく拡散させることに成功していることだ。こうした公式スポンサーではない企業が、大きなイベントに便乗して自社の宣伝や商品の販売を行うことを「アンブッシュマーケティング」と言い「便乗商法」とも呼ばれている。
ワールドカップは全世界の人々の注目を集めるイベントであり、企業にとっては世界に自社のアピールができるチャンスがある。しかし、高額なスポンサー費を払わなければ、オフィシャルスポンサーを名乗ったマーケティングが行えない。それ以外の企業はアンブッシュマーケティングという形をとり、権利の問題に当たらない範囲でマーケティングを行う必要がある。
今回の南アフリカKFCの広告は、「ワールドカップ」のロゴやワードも1つも出てこないため権利の問題をうまくクリアしている。また、ワールドカップの開幕直前というタイミングで広告を公開し、「ダイブ」や「シミュレーション」という行為に着目した広告にすることで、サッカーやワールドカップとの関連性をイメージづけることに成功している。まさにスポンサー企業以外が行う優れたアンブッシュマーケティングの事例だといえる。
■アンブッシュマーケティングを成功させるために
日本でも「大迫半端ないって」という言葉が流行したことから、日清が「大坂半端ないって」のパロディCMを作成するなど、日本企業の中でも少しづつ似たようなアンブッシュマーケティングが始まってきている。また、2020年には東京オリンピックが控えており、ワールドカップ以上に権利に厳しいと言われているが、虎視眈々とアンブッシュマーケティングを狙う企業も出てくるだろう。
オリンピックなどの大型イベントをスポンサー以外の企業がうまく活用するためには、そのスポーツを理解し権利侵害に当たらない境界線を見極めたプランニングが求められる。そうしたプランニングのためには、綿密な準備とリスクを冒す攻めの姿勢が必要だ。
アンブッシュマーケティングは普通のスポンサーシップよりも難易度が高いが、南アフリカKFCの例のように成功すると大きなインパクトを生み出すことができる。ネイマールの後押しを受けたように、ひょんなことから大きく拡散するかもしれない。そうした秘めたる可能性があるアンブッシュマーケティングにチャレンジしていく企業が増えていくことを期待したい。
※関連記事
●【ロシアW杯のアンブッシュマーケティング事例】フォルクスワーゲンがW杯組み合わせ抽選結果をバナー広告で生配信<2018年6月28日>
●【応援グッズ配布事例】ホームサポが知らぬ間にアウェイサポに?ペルー代表のW杯出場を支えた秀逸な応援企画<2018年5月30日>
【了】
記事提供:SPODIGI
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