NBAが「第4クオーターのみ99セント」のストリーミング放送をテスト ライトなファンを取り込む大胆な一手
2018年03月31日 コラム メディア/放映権 Written by 川内 イオ
NBAがプロスポーツ界初の試みを始めたようだ。NBAの試合は1クオーター12分の4クオーター制だが、ストリーミング放送において第4クオーターのみ99セントでの提供をスタートしたのである。テスト段階なのか正式発表はされていないが、実際にTwitterのNBA公式アカウントのフォロワーの一部は、「99セントで第4クオーターの視聴ができる」という通知を受け取っており、アメリカの複数のメディアが報じている。
NBAデジタルが放送権を管理するNBAのストリーミング放送は、これまで全試合視聴可能なリーグパスのほか、特定のチームの試合だけの視聴、個々の試合に対する課金などいくつかのパターンがあった。そのなかで最も低価格で視聴可能なオプションがこの「99セントで第4クオーターのみ」である。
この選択肢は、これまでスマートフォンやタブレットでNBAのストリーミング放送を観たいと思っていながら、金額などの理由で視聴してこなかった層への強力なアプローチとなる可能性を持つ。大一番が接戦になっていたり、選手がなにかしらの記録を破るか、大記録を樹立するような試合の際に、NBAの公式アカウントが「99セントで第4クオーターのみ視聴可能」と告知をしたら、そのハードルの低さによって視聴を始めるファンも少なくないだろう。1試合を観るつもりはないが、ラスト12分だけながら観てもいい、結果だけ気になるという層は存在するはずだ。
新しいファンの開拓を競い合うアメリカのプロスポーツ界のなかで、NBAへの関心を高めるという意味で、「99セントで第4クオーターのみ」はライトなNBAファンの視聴者数を拡大するための大胆な策といえる。
参考までに、2016-17 シーズンのNBAファイナル、ゴールデンステイト・ウォリアーズとクリーブランド・キャバリアーズの対戦では、全5戦でデジタル・ストリーミングでの視聴者は1試合平均43万4000人だった。
現時点では「99セントで第4クオーターのみの視聴」が実装されるかまだわからないが、実装された場合、第4クオーターの視聴者数が大幅に伸びるのは確実だろう。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N
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