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NFLが新興スポーツアパレル「NOBULL」に出資。その背景の仕組みとは?

2022年12月25日 コラム Written by 川内 イオ

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アメリカのナショナルフットボールリーグ(NFL)が、アメリカ・ボストン発のスポーツアパレルブランド「NOBULL(ノブル)」への出資を発表した。この出資の背景にある仕組みについて説明しよう。

NFLは2013年、投資部門としてサーティーツーエクイティ(32 Equity)を設立。これは各チームからの拠出金で運営されており、これまでに総額2億5000万ドル以上が投資されている。過去にはスポーツ賭博データ会社Genius Sports、バーチャルフットボールトレーニング製品を作るテクノロジー企業Strivr、アパレルブランドではアンダーアーマーなどにも出資してきた。ノブルへの投資もその一環だ。

2013年にボストンで生まれたノブルは、無酸素運動と有酸素運動を取り入れたトレーニング「クロスフィット」の分野でよく知られたブランドで、ランニング、水泳、ゴルフなどのスポーツ用品も販売しているが、アメリカンフットボールに関しては商品がなかった。

しかし2021年にNFLの2選手と契約を結ぶと、2022年8月にはNFLドラフト会議で指名を目指す大学生選手が参加する身体能力測定会「スカウティングコンバイン」のオフィシャルパートナーとして複数年契約を結んだ。

この契約により、コンバインの参加者はフィールド内外での活動においてNOBULLのアパレルとアクセサリーを着用することが求められる(シューズに関しては、フィールド内での活動では自由に選択することができる)。

今回の出資は、この契約が前提にある。NFLはノブルからスカウティングコンバインのオフィシャルパートナーとして契約金を受け取っているが、それだけでは一度限りの収入にすぎない。コンバインによって全米でノブルの認知度が高まり、ブランド力が増して売り上げが伸びれば、出資しているNFLの懐も潤うという仕組みだ。

サーティーツーエクイティが利益を上げれば、NFLは放映権料やチケット収入だけに頼らずに資金を保有することができる。この仕組みはプロスポーツ競技において参考になる事例だろう。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『稀食満面 そこにしかない「食の可能性」を巡る旅』が11月28日に発売。https://amzn.to/3UBIJxl


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