NBAがアフリカ大陸に本格進出! スマホで500試合が視聴可能に
2016年04月30日 コラム チーム/リーグ経営 Written by 川内 イオ
世界レベルでファンの獲得に奔走しているアメリカのプロスポーツリーグが、唯一、手を付けてこなかったアフリカ。サッカーだけが圧倒的な人気を誇り、野球も、バスケットボールも、アイスホッケーも、アメリカンフットボールもマイナースポーツに過ぎないこの未知の市場に先陣を切って乗り込んだのが、NBA(米プロバスケットボールリーグ)だ。
NBAはこれまで南アフリカの衛星放送局スタースポーツと契約していたが、2015-16シーズン(6月終了)で契約満了を迎えるのを機に、ジンバブエに拠点を置くアフリカ最大のスポーツ放送局「Econet」と放映権の複数年契約を結んだと発表した。
「Econet」は2016-17シーズンから、サブサハラ地域(サハラ砂漠より南の地域)の49カ国で、NBAのリーグ戦とプレーオフ、ファイナル、WNBA(女子プロバスケットボールリーグ)の計500試合以上を有料放送のテレビ、パソコン、スマホ、タブレットで放映する。AP通信の独占インタビューに応じたNBAの副社長兼アフリカ地域のマネージングディレクター、Amadou Gallo Fall氏は「アフリカにおける最大規模のパートナーシップ」とコメントした。
今回の契約の特徴は、パソコンやスマホ、タブレットなどのワイヤレスデバイスでの視聴を可能にしたことだ。サブサハラ地域は9億7340万人の人口(2014)を抱えており、スマホの加入者は2015年の時点で人口の約17.4%、1億7000万人と見積もられている。アフリカで衛星放送の視聴環境を持つ層は限られるが、今後もスマホの所有者は右肩上がりの成長が確実視されており、NBAにとって、モバイル端末での視聴はアフリカでファンを拡大するための強力な武器になる。
NBAはアフリカ市場を開拓するために、これまでも布石を打ってきた。2010年に南アフリカのヨハネスブルクに事務所を開設し、昨年には、NBAのスタープレーヤーを連れて、ヨハネスブルクのアリーナで初めてエキシビジョンマッチを開催。しかし4000席のアリーナが満員にならなかったことが、NBAの認知度の低さを物語る。
「Econet」との契約は、この状況を覆すための最初の一手。Amadou Gallo Fall氏は、「5年以内に、アフリカの全ての国、54カ国でライブ中継を行うことができるプラットホームを持つ」と語っており、今後、NBAのアフリカ進出が本格化するだろう。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
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