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スポーツウェア市場に旋風を巻き起こす、リバプール発の新興ブランド

2020年12月28日 コラム Written by 川内 イオ

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ナイキ、アディダス、プーマなどの大手がしのぎを削るスポーツウェア市場に、2015年に設立されたイングランド・リバプール発の新興ブランド、Castore(カストレ)が挑んでいる。

カストレは2019年3月、テニス界のスター、アンディ・マレーと長期的なパートナーシップ契約を結んだこと発表した。これは、アンディ・マレーが同社の株主になり、取締役会顧問に就任し、共同で製品開発を手掛けるという内容だった。この契約を皮切りに、カストレはスポーツウェアの市場に攻勢をかけている。

2020年5月には、スコットランドの名門サッカークラブ、グラスゴー・レンジャーズが、デンマークのブランド、ヒュンメルとの契約が残っていたにもかかわらず、その契約を破棄し、カストレとの5シーズンの契約を発表した。

現地で2000万~2500万ポンドと報じられているこの契約では、カストレがレンジャーズにトレーニングウェアとユニフォームを提供することに加えて、レンジャーズの小売業務も担当することになった。それに伴い、25万ポンドをかけてスタジアムショップをリノベーションしたほか、オンラインショップを開設。今後、国内外にレンジャーズのオフィシャルショップ10店舗をオープンする計画もある。

11月には、アディダスと契約が残っていたイングランド・プレミアリーグのウォルバーハンプトン・ワンダラーズが、その契約を破棄して年間100万ポンドでカストレと契約。同月、イングランドのラグビーチームで世界的人気を誇るサラセンズも、年間200万ポンドで契約している。

さらに12月、ラグビー・イングランド代表キャプテンのオーウェン・ファレル、クリケット・イングランド代表のスター、ジョス・バトラーとの長期的なパートナーシップ契約を締結。オーウェン・ファレルとは共同で、ラグビーシューズやアパレルウェアを開発するとしている。

ほかに、オーストラリア・ナショナルラグビーリーグのシドニー・ルースターズ、西インド諸島のナショナルクリケットチームとも契約している。

メジャーメーカーの牙城に食い込むカストレが、日本に上陸する日も近いかもしれない。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『1キロ100万円の塩をつくる: 常識を超えて「おいしい」を生み出す10人』(ポプラ新書)が発売中。https://amzn.to/2ZaM9Mz 


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