知られざるインドのプロクリケットリーグの経済効果 インターネット配信で拡大する市場
2016年04月16日 コラム チーム/リーグ経営 Written by 川内 イオ
インドで「プレミアリーグ」といえば、それはイングランドのサッカーリーグではなく、クリケットの全国リーグ「インディアン・プレミアリーグ(IPL)」を指す。
まずは、リーグの概要を紹介しよう。IPLがスタートしたのは、2008年。当初より8チームが所属し、毎年4月上旬に開幕する。シーズンの短さが特徴で、今シーズンは4月9日から5月29日までのおよそ2カ月の間に、60試合が開催される。
この期間に、世界のトッププレーヤーがインドに集結。各チームは2月に開催されるオークションで選手を獲得するのだが、そこではふんだんに資金が投じられる。今年のオークションでは、バンガロールを本拠地とするロイヤルチャレンジャーズ・バンガロールが、オーストラリアのベテラン選手、シェーン・ワトソンを年俸140万ドル(1億5,800万円弱)で落札した。他の有望な選手の年俸も、優に1億円、2億円を超える。
クリケットは、インドの国技であり、人気ナンバーワンスポーツ。当然、IPLの人気もうなぎ上りで、メディアも視聴者の獲得に奔走している。もちろんテレビでも放送されているのだが、人気拡大のカギを握るのがインターネット配信だ。
インドの代表的なテレビチャンネル「Star India」社によると、同社がIPLの試合をライブ放送とオンデマンド配信している「starsports.com」では、2014年シーズンに2800万人だった視聴者数が2015年には4100万人に増加しており、今シーズンは1億人に達すると予想している。
インドやパキスタン、バングラデシュなどクリケットが盛んな国の住民を多く抱えるアメリカもIPLに注目しており、2016年シーズンは、世界的スポーツメディア「ESPN」が、アメリカでのライブ放送とオンデマンド配信の契約を締結。PC、スマホ、タブレットで全試合観戦可能なパッケージを29.99ドルで提供すると公表している。
インドの経済成長とインターネット配信によってIPLのマーケットは拡大しており、インド経済に及ぼす影響も大きい。経済メディア「ブルームバーグ」によると、世界的スポーツコンサルティング会社「KPMG Sports Advisory Services」は、IPLの経済効果を57億ドルと見積もる。また、別のアメリカの分析会社は、IPLの事業価値が2014年から9%上昇し、35億ドルに達したとしている。
いまや、世界ナンバーワンのプロクリケットリーグに成長したIPL。その勢いは、とどまることを知らない。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、 新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。 ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
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