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スポーツスポンサーシップを「採用」に活用する8つのアイデア〜国内外のアクティベーション事例紹介〜

2020年10月12日 コラム Written by SPODIGI

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SJNでは、スポーツとスポンサーに焦点を当てたスポーツビジネス考察サイト「SPODIGI(スポディジ)」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

今回は、スポンサーシップの活用法として、「採用」に特化した事例を紹介します。

(出典:SPODIGI『スポーツスポンサーシップを「採用」に活用する8つのアイディア 〜国内外のアクティベーション事例をご紹介〜』2020年10月7日)

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スポンサーシップを自社のビジネス課題の解決に活用する「アクティベーション」の主目的として、認知拡大やブランディングなどの広告宣伝がまず挙げられる。しかし、「採用」に特化した活用方法があることも忘れてはならない。

「〇〇は△△の公式パートナーです」などと名乗れる呼称権、チームのロゴなどを公式サイトや配布物などに利用できる権利など、自社が保有する権利次第でさまざまな取り組みを行うことができる。

本記事では、「採用」に特化したスポンサーシップのアクティベーション事例をご紹介。活用に向けたアイデアにつながれば幸いだ。

①求人サイトや採用PRビデオでスポンサードに言及
1つ目の事例は、プロ野球パ・リーグに所属する千葉ロッテマリーンズと、そのスポンサーである株式会社ライブズの事例だ。

不動産や保険サービスを展開する同社は、大手新卒採用サイト「マイナビ」(https://job.mynavi.jp/21/pc/search/corp206786/outline.html)や、会社のPRビデオ内でスポンサードをしていることを明確に述べている。

マイナビは多くの採用候補者が利用するサイトであるため、千葉ロッテのファンや野球ファンの関心を集めることができるだろう。またページ内に記載することで、「千葉ロッテ」「マリーンズ」などと検索する学生の目に留まりやすくなる。加えて、全社員で冠協賛試合のイベント運営や企画を行った旨も記載し、会社の雰囲気をアピールしている。PRビデオに関しては、会社説明会での紹介や、採用サイトに掲載することで、候補者の関心を高める効果が期待できる。

同社のように、まずは自社がスポンサードしている旨を多くの採用候補者の目に止まる場所に記載するのが有効だろう。特に、自社の採用サイトや求人サイトへの記載は、最初に実施したいアクティベーションだ。

②チームの公式サイトで求人案内
2つ目の事例は、Bリーグに所属するライジングゼファーフクオカと、そのスポンサーの株式会社売れるネット広告社の事例だ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で2019-20シーズンが途中終了し、スポンサー企業の広告露出が減少した事情から、同チームは公式サイトやSNSでスポンサー企業のPRを行った。(記事はこちら⇒https://r-zephyr.com/news/detail/id=14299

福岡県に本社を構えるネット広告代理店の同社は、このPR企画に参加し自社の紹介をすることに加えて、この記事の中で採用募集中であることをアピールした。この掲載内容は、スポンサー企業側に決定権があったことから、同社が主体的に掲載を決め、チーム側が採用PRすることを承認した形だという。

チーム公式サイトでのPRは、多くのファンにアプローチが可能。この事例はイレギュラーな状況で発生した権利であるものの、主体的に採用目的で活用した点で優れている。もともとこうした権利を保有していれば、積極的に活用すべきだろう。

(※ライジングゼファーフクオカと株式会社売れるネット広告社のスポンサー契約は昨シーズンで終了)

③採用候補者とスポーツ観戦
3つ目の事例は、米国プロバスケットボールリーグNBAに所属するボストン・セルティックスの事例だ。

2016年に、ボストンに隣接するケンブリッジに本社を持つ自動車関連IT企業のCarGurus社は、セルティックスのスイートルームで採用候補者と試合観戦するイベントを実施した。(同社とセルティックスが当時スポンサー契約を結んでいた旨は確認できなかった)

こうしたスポーツ観戦型の採用イベントは、スポーツを媒介に候補者と社員の相互理解を深めることができる。また、採用のためだけでなく、内定者の辞退防止やこれから同僚になる仲間との交流を目的に実施するのも有効だろう。加えて、このイベントを経験した候補者は、入社後もこうした体験を期待し、入社へのモチベーションを高める効果も期待できる。

④選手と社員の対談企画をパンフレットに
4つ目の事例は、東京ヴェルディの女子チームである日テレ・東京ヴェルディベレーザと、そのスポンサーである株式会社クラーチの事例だ。

介護サービスを提供する同社は、若手社員とベレーザの選手が仕事への想いや苦悩、やりがいなどを同世代で語る対談企画を実施。また、この対談企画の内容をパンフレットにし、会社説明会や面接で配布した。

介護業界は、離職率の高い職種かつ、他者との差別化が難しい。そのため、女子サッカーチームのスポンサードでポジティブなイメージを持ってもらうことで、応募者増加を図ることが狙いだ。また、熱い想いを持った社員がいることをアピールし、入社へのモチベーションを高める効果も期待できる。

⑤クラブマスコットを内定式に招待
5つ目の事例は、Jリーグの横浜F・マリノスのスポンサーである株式会社ムゲンエステートの事例だ。

不動産買取再販・不動産賃貸事業を展開する同社は、クラブの公式マスコットであるマリノスケを内定式に招待し、内定者にサプライズでお披露目した。

マスコット招待は、堅くなりがちな内定式の場を和ませたり、活用次第ではコミュニケーションの活性化にもつながるだろう。また、マリノスへのスポンサードを内定者にアピールすることで、ファンやサッカー好きの内定者がいる場合に、彼らの入社モチベーションを高めることができる。同社はマスコットで実施したが、選手の招待やメッセージ動画を制作するなど、保有している権利に合わせて考えることが重要だ。

⑥同じスポンサー企業と共に採用イベントを実施
6つ目の事例は、Bリーグの千葉ジェッツふなばしと、そのスポンサーであるスポーツ特化の人材関連会社、株式会社ウィルオブ・スポーツの事例だ。

千葉ジェッツとウィルオブ・スポーツは、同じくスポンサードする別の企業と共に就活イベントを開催。まず、就活生を集め会社の説明会を行い、その後に学生が気になる企業の人事担当者と会話できるフリートークセッションを実施。最後に、企業の人事と学生が一緒に千葉ジェッツの試合を観戦した。

人材会社である同社にとっては、自社のビジネスに直結するアクティベーションであり、他のスポンサー企業にとっても自社がスポンサードしていることをアピールしつつ、ポジティブなイメージを持った学生に対して採用活動が行える。また、試合観戦もセットにすることで、人事と学生の相互理解を深めることができるだろう。

⑦採用効果を狙いボックス席のエリアネーミングライツスポンサーに
7つ目の事例は、千葉ロッテマリーンズと、そのスポンサーである濱田重工株式会社の事例だ。

北九州市に本社を構え、鉄鋼関連事業などを展開する同社は、創業120周年を迎えた2019年に千葉ロッテの本拠地であるZOZOマリンスタジアムに新しく新設されたボックスシート(ダグアウトボックス)のエリアネーミングライツを取得。千葉県にも支社を構える同社は、その地域の高校生の採用活動に力を入れており、高校生の採用は基本的に1人の学生につき1社しか採用試験を受けることができない事情から、高校生や保護者、先生からの認知や企業イメージ向上を目的として契約に至った。

結果的に、会社の知名度が向上したことから、ホームページへのアクセス数も大幅に増加し、採用への好影響が出たという。また採用面だけでなく、福利厚生として2019年より1ボックス取得し、社員が積極的に野球観戦に行ってもらえるようにし、社内活性の用途でも権利活用した。

命名権の取得となるとBtoC企業の施策のイメージの方が強いが、同社のようなBtoB企業であれば「採用」に効果的であることを証明している。また、高校生採用の特徴を捉えた上で、命名権の取得というアプローチを選択しており、採用したいターゲットに合わせた権利を保有する重要性も説いてくれる事例だ。

⑧採用活動そのものを企業プロモーションに
8つ目の事例は、UEFAチャンピオンズリーグと、そのスポンサーであるハイネケンの事例だ。

ビールブランドである同社は、インターン面接の模様をビデオで撮影。面接は、候補者の「本当の人柄」が分かるような一風変わった面接方法で進んでいく。候補者の中から特に印象の良かった3名を社内投票し、最終的に選ばれた候補者をチャンピオンズリーグの試合のキックオフ前のタイミングで発表した。

この一連をまとめたビデオはSNSや外部メディアで拡散され、約4億2000万インプレッションを稼ぎ出すだけでなく、ハイネケンの採用サイトへのアクセス数は279%増加、その後の採用活動でも履歴書の提出数が317%増加するなど大成功を収めた。

これは採用だけでなく、「チャンピオンズリーグを活用してユニークなことをする」というハイネケンのブランディングにもつながるアクティベーションだ。結果からも、多くの人々の注目を集めたことは明白で、ハイネケンに入りたい!という採用候補者を増やす効果が期待できる。また、「候補者の人柄」に着目した企画であり、自社のカルチャーにマッチした人材を獲得にもつながるだろう。

■アクティベーションの目的と内容、効果測定方法を明確に
スポーツを活用した採用活動を行うメリットは、大きく以下の2つだ。企業によって採用課題は異なるため、自社の状況に合わせたプランニングが重要となる。

就職志望者を増やしたい場合や異なる人材を獲得したい場合は、①を意識し、自社がスポンサーシップを行なっている認知を高めるアクティベーションが有効だ。

一方で、ある程度の候補者を確保できており、優秀な人材の獲得、内定者の辞退防止を目的とするのであれば、②を意識し、入社モチベーションが高まるようなアクティベーションが必要だろう。上記のアイデア集に含まれない例では、選手や監督から候補者へのメッセージをもらうなどの取り組みが有効だと考えられる。

そして、内容と同時に効果測定方法まで事前に設計しておくべきだ。アクティベーションの目的と内容に合わせて振り返ることで、次回へのアクションにつながり、健全なPDCAを回すことができる。

PDCAに生かすべきデータの例
・スポンサーシップをきっかけに応募のあった候補者数
・採用サイトへのアクセス数
・面接でスポンサーシップについて質問したときの反応
・内定辞退率

■難しい状況でこそ
現在、スタジアムに来場可能な観客数は、徐々に本来の形に戻ってはいるものの、まだ100%ではない。そのため、広告宣伝効果だけを見ていると、マイナスに感じてしまうのも自然なことだ。しかし、それ以外の効果を生んでいることも忘れてはならない。特に、通年通りの採用活動を予定している企業にとっては、採用に特化したアクティベーションに注力することも有効だろう。

その際には、まず自社がどんなスポンサー権利を保有しているか見直し、自社の採用課題に合わせたプランニングを行うことが重要だ。保有権利の活用次第では、その取り組み自体が拡散し、結果としてハイネケンの事例のように広告宣伝効果にも好影響をもたらすかもしれない。本記事が、そうした採用活動への「前向きな」アクティベーションにつながれば幸いだ。

【了】

記事提供:SPODIGI

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