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大手物流DHL、スポンサーLED看板の権利を中小企業に提供 〜レスターとのアクティベーションの狙いとは〜

2020年07月05日 コラム Written by SPODIGI

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SJNでは、スポーツとスポンサーに焦点を当てたスポーツビジネス考察サイト「SPODIGI(スポディジ)」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

今回は、イングランド・プレミアリーグのレスター・シティと、そのオフィシャル・ロジスティクス・パートナーで世界的な大手物流企業「DHL」のアクティベーションを紹介します。

(出典:SPODIGI『大手物流DHL、スポンサーLED看板の権利を中小企業に提供 〜レスターとのアクティベーションの狙いとは〜
』2020年6月25日)

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https://www.facebook.com/watch/?ref=external&v=1790201794349496 より)

■英国の中小企業を支援するためのアクティベーション

DHLとレスターのパートナーシップは2014年にスタートし、今日まで続く長期的なものとなっている。物流パートナーとして、レスターのオフィシャルグッズの海外輸送を担当するなど、さまざまな取り組みを行ってきた。

その中でも、2018年に「UK Sponsorship Awards」も受賞したアクティベーション『Win Global Exposure』は画期的なものである。

それは、レスター・シティのホーム「キング・パワー・スタジアム」で行われた2017-18シーズンのプレミアリーグの試合で、通常同社が保有する「スポンサーLED看板による企業ロゴの掲出権利」を、英国の海外向けにEC販売を展開する中小企業4社に提供し、世界中にPRするチャンスを与えるというもの。

選ばれた企業には、以下4つの権利が提供された。
・ピッチサイドLEDスポンサーボード広告
・スタジアムの巨大スクリーンで30秒のCM放映
・マッチデープログラムへの一面広告の掲載
・自社と取引先用のホスピタリティチケット10枚

また、試合当日のオペレーションやクリエイティブの制作は、DHLと提携するエージェンシーが全面的にサポートした。加えて、レスターの公式ソーシャルメディアで各企業の紹介なども行われている。

この企画に選ばれたルーズリーフティーブランド「TEA PALACE」は、強豪トッテナム・ホットスパー戦でPRを行ったところ、試合が開催された木曜日の夜の時間帯において、通常時よりもサイトへの流入数が500%増加したという。加えて国別で見ると、英国以外では同社が特に注力するマーケットであるアメリカと日本からの流入が多かったことからも、海外向けのPRに効果があったことを物語っている。

■DHLがスポンサー権利を提供した狙い

通常であれば、自社の権利としてスポンサーボードを活用してロゴ露出を行うことが一般的だ。しかし、あえてその権利を譲った狙いの一つは、中小企業を支えるアクティベーションを行うことで、ブランドイメージを高めることだと考えられる。

BtoCとBtoB、どちらの配送ビジネスも展開する同社。BtoCにおいては、レスターとのユニークなアクティベーションで注目を集めることで、スポンサードしていることをアピールできる。また、BtoBの観点では、中小企業の海外進出をサポートすることで、提携先を検討している中小企業に第一候補として想起してもらうことが狙いだろう。

もう一つの狙いとして、中小企業の海外進出のサポートそのものが、同社のビジネスの成長につながることが挙げられる。

海外展開を考える中小企業にとって、ブランド認知が重要になってくる。そのため、プレミアリーグの試合でのロゴ露出は是が非でも欲しい権利だが、スポンサー費用を払える企業は多くないだろう。そうした課題のある企業にロゴ掲出の機会を提供し、その企業の海外展開に寄与することができれば、同社とその企業における海外輸送の取扱高アップが期待できる。

また、ロゴ掲出権利だけでなく、試合の観戦チケットに飲食サービスなども付く「ホスピタリティチケット」も提供している点にも注目すべきだろう。欧米では、スポンサー企業がこのチケットを活用し、取引先との関係構築、いわゆる「接待」を行うことが多い。つまり、中小企業からその重要顧客に特別な場を設けてもらうことで、関係性を深めビジネスを発展させてほしいという狙いがあると考えられる。

レスターのコマーシャルディレクターは「このキャンペーンの目的は、世界中のプレミアリーグの観客にリーチするプラットフォームを提供することで、イギリス企業の国際的な成長を支援することでした」と述べた。このコメントからも分かるように、クラブとスポンサー企業が共同で自国の中小企業をサポートする先進的な事例ではないだろうか。

■スポンサー権利を他社に提供するという選択肢

この事例から「スポンサー権利は自社のためだけに使うもの」というのは、ある意味先入観だと分かる。DHLのように、自社にも明確なメリットがあれば、他社に自社のスポンサー権利を提供することも、選択肢として持つべきだろう。

とはいえ、クラブとの調整や、他のスポンサーとの兼ね合いもある。そのため、契約内容やレギュレーションを踏まえ、実行可否を確認して進めるべきだろう。特に上位のスポンサーと同カテゴリーで、競合他社にあたる企業の参加は難しかったと考えられる。

いずれにせよ、さまざまな制約がある中で、保有する権利を正しく理解し、アクティベーションを進めることが重要だ。その点、今回の事例は、スポンサー権利の活用方法から、大手企業が中小企業の支援をするスキームまで、ユニークかつ効果的なアクティベーションだ。スポンサー看板へのロゴ露出に関して、新しい方法を模索している企業やクラブチームにとって、参考になる事例ではないだろうか。

【了】

記事提供:SPODIGI

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