NFL史上初の「バーチャルドラフト」 記録的な視聴者数を達成
2020年05月04日 コラム チーム/リーグ経営 Written by 川内 イオ
4月24、25、26日の3日間にわたって開催されたNFLのドラフトは、史上初めて「バーチャルドラフト」で行われた。
3日間かけて、NFLの32チームが7巡目まで指名を行うドラフトは、これまで大規模な会場でにぎやかに行われてきた。今年もネバダ州ラスベガスで開催が予定されていたが、アメリカでも猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、オンライン会議形式に切り替えられた。各チームの指名選手を読み上げるNFLコミッショナーのロジャー・グッデル氏をはじめ、解説者やリポーター、候補選手の多くが自宅から出演した。
今回のドラフトは、昨年に続いてアメリカのテレビ局ABC、ESPN、ESPN Deportesで全国中継され、NFL専門チャネル「NFLネットワーク」、NFLのデジタルチャネルでも放送された。
32チームが1位の選手を指名する23日の初日は、ESPNNとNFLネットワークが共同でヘッドコーチ、ゼネラルマネージャー、候補選手の自宅にカメラを置いて中継。この目新しい演出が功を奏したのか、平均視聴者数は前年比37%増の1560万人を記録した。
その勢いは衰えず、2日目は820万人(前年比40%増)、3日目は420万人(前年比32%増)と、軒並み大幅増。海外向けのデジタル放送も含めると、3日間で計5500万人が視聴した。これは前年比16%増となる。
さらに、「NFL.com」が主催したオンラインの募金キャンペーン「NFL Draft-A-Thon LIVE」も、平均視聴者数540万人に上り、1億ドルを超える寄付を集めた。
NFLは現在オフシーズンだが、アメリカの多くの地域でコロナによる外出自粛を要請されている中で、NFLの新しい試みは大勢のNFLファンを引きつけたようだ。
来年のドラフトはまた従来の方式に戻ると予想されるが、「バーチャルドラフト」の成果は今後に引き継がれるだろう。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。新著『農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦』(文藝春秋)が発売中。https://amzn.to/2MKcg7g
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