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企業とアスリートの関係 vol.5「西尾レントオール」

2020年03月23日 インタビュー Written by Sports Japan GATHER

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SJNでは、アスリートのための、応援メディア「Sports Japan GATHER(ギャザー)」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ、そしてアスリートに注目が集まる中、企業とアスリートの関係にも変化が生まれています。双方にとってメリットのある関係を築くために、何が必要なのでしょうか? 

特集「企業とアスリートの関係」では、選手やスポーツ事業を支えている企業人に話を聞いていきます。

今回は、女子サッカー選手などを雇用する西尾レントオール取締役・関西支店長の橋本宏治さんに話を聞きました。

(出典:Sports Japan GATHER『企業とアスリートの関係 -Vol.5-「西尾レントオール」』2020年3月6日)

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■アスリートだからこそ可能な“隙間”業務

建設機械を中心とした総合レンタルおよび関連事業を手掛ける、大阪府大阪市に本社を構える西尾レントオール。

2016年、パラリンピックの正式競技であるボッチャの廣瀬隆喜さんをきっかけに、2017年から女子サッカー選手の採用を始め、これまでに計4人が同社の社員として働いた実績を持っている。

女子サッカー選手を採用するきっかけとなったのは、同社のニーズと女子サッカー界の課題がマッチングしたことにあった。取締役・関西支店長の橋本宏治さんはこう語る。

「現在“働き方改革”が注目されていますが、以前より企業はコンプライアンスやリスクアセスメントに注力していくことが求められてきました。それ自体は非常に良いことなのですが、対応には新たな人材の確保が課題となり、本社人事だけでなく営業部の社員も各々担当しているエリアの大学や高校、専門学校などを積極的に訪問し、社員を募っていました。しかし、それでもまだ足りず、スポーツ選手の“セカンドキャリア”“デュアルキャリア”にも参入してみたらどうか?ということになったんです」

同社は建設機械のレンタル事業を展開しており、スポーツ施設のグラウンド整備とも関わりを持っている。そのため、スポーツ関係者ともつながりがあり、元プロサッカー選手で当時は三重にあるクラブチームのゼネラルマネジャー(GM)をしている方との縁で、現役サッカー選手の採用について話が挙がった。 

当初は男子選手の採用を考えていたが、そのGMの方から女子選手の採用を提案され、最初に紹介されたのが、当時スペランツァ大阪高槻に所属していた大島香歩さんだった。

もともと同社には、甲子園や国体で活躍したような体育会系の社員も多く、“粘り強さ”や“協調性”など、スポーツで培われた人間性をプラスに捉えている風潮がある。そのため、社内から反対の声はなく、スムーズに受け入れられたという。大島さんは、試用期間を経て2017年5月に入社。それ以降、毎年、女子サッカー選手を採用している。

しかし、競技と仕事との両立を図ることは簡単なことではない。果たして、選手たちはどのような職種・勤務形態で働いているのだろうか。

「もちろん、選手たちの本業はサッカーということで、練習や遠征、試合を優先することが条件となります。そうすると、主な職種である営業、フロント、技術、事務は常駐することができない彼女たちには難しい。しかし、弊社には常時ではなく、単発で発生する仕事も少なくありません。

 例えば、経理などを行う一般事務担当とは別に、技術職にも整備データ等の入力作業や、交換パーツの在庫管理をしてくれる、いわば技術事務担当が必要で、それは常駐でなくてもできる。また、時にはレンタル機器の簡単な塗装や清掃を手伝ってくれる人材も必要になるのです。そうした単発の仕事ならどうだろうかということで始めました」

そのような仕事に、大島さんは熱心に取り組み、その誠実さや協調性によって、周囲の社員からもスムーズに受け入れられ、仕事の内容も広げていったという。現在も同社がアスリートの採用を続けているのは、こうした彼女の真摯な姿によるところが大きいと橋本さんは話す。

■社内の一体感創出に貢献

また、アスリートを採用したからこそのメリットもあった。西尾レントオールでは、全国各地に各エリアに店舗を設置し、地域密着型の営業にも注力している。そのため、地域との結びつきも大切にしている。

「例えば、京都と滋賀を担当エリアとする京滋営業部には、スペランツァ大阪高槻の選手が配属されているのですが、高槻は京都に近いということもあって、地元の建設会社や造園会社の方からも応援していただいています。選手自身も地元に貢献してくれていますし、選手やチームの知名度も地元で高まるという、双方にとって非常に良い関係性の中、仕事を頑張ってくれます」

さらに、社内における一体感にもアスリート社員の存在が欠かせないと感じている。

「希望者を募って、試合の応援に行くんです。そうすると、さまざまな部門、部署の社員が集まってくれるので、普段はなかなか顔を合わすことのできない社員たちが交流することができるんですね。社員の一体感を生み出す“きっかけに”なっていると感じています」

“第1号社員”となった大島さんは、海外のクラブチームに移籍をすることになり2018年に退社したが、現在も連絡を取り合うなど良好な関係性が続いている。 

2020年は、なでしこリーグ2部に所属するASハリマアルビオン(本拠地:兵庫県姫路市)の選手を雇用。それに先立ち2019年は、大島さんの後に入社した園山萌子さん(スペランツァ大阪高槻)、上田恵里那さん、小林映里奈さん(ともにヴィアティン三重レディース)の3人が勤めていたが、移籍などに伴い上田さんと小林さんは退社。現在チームと入れ替え雇用の話し合いが進んでいる。

チームによっては、練習が平日の午前中から行われることもあるため、曜日や時期によっては勤務時間が通常の時間帯ではないこともある。

しかし、受け入れ営業部と総務人事部人事課が“本音”で話し合い、各チームの選手に合わせた勤務時間を検討し、可能な時間分だけ勤務できるようにしている。それは、選手たちの収入を確保してあげたいという気持ちからだ。

「今の時代、これまでの人数では賄いきれない量に仕事が増え、そうした部分をアスリート社員がしっかりと埋めてくれています。非常に良い関係性を築けていると感じていますので、これからも女子サッカーに限らず、積極的にアスリートの採用をしていきたいと思っています。

 ただ、一番重要なのは、最初にお互いに“本音”で話し合うこと。弊社のニーズと、選手との希望とがマッチングするかどうかを見極めて採用を決めないと、選手も会社に居づらくなったり、お互いにとって不幸になりかねません。最初の段階で綿密に話し合って、細かく擦り合わせておくことが、非常に重要だと感じています」

西尾レントオールにとってアスリート社員は、単なる社外への“広告塔”ではなく、社内の活性化や文化にも寄与する存在。だからこそ、ウィンウィンの関係を築き、継続した雇用が創出されているのではないだろうか。

【了】

取材・文=斎藤寿子
取材協力=スポーツ庁委託事業「スポーツキャリアサポート戦略における{アスリートと企業等とのマッチング支援}」
記事提供:Sport Japan GATHER

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