『ミリオンダラー・アーム』再び! MLBがインドでトライアウトを開催
2019年09月28日 コラム チーム/リーグ経営 Written by 川内 イオ

アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)は、今年7月、インドの首都ニューデリーにオフィスを開設すると発表した。海外オフィスは、メキシコシティ、ロンドン、北京、東京に次いで、5つ目になる。
なぜ、インドなのか。インドでは、野球と極めて似たスポーツ、クリケットが熱狂的人気を誇る。インドでMLBの認知を高めることで、クリケットファンにベースボールにも関心を持ってもらおう、ファンになってもらおうという狙いがある。
インドでの新規ファン開拓のために、MLBはいくつかの取り組みを予定している。その目玉となるのが、「MLB First Pitch」。これはすでにメキシコと中国でも開催されているプログラムで、MLBインターナショナルコーチの指導のもと、子どもたちに「初めての野球体験」を提供する。MLBは手始めに、ニューデリー、バンガロール、ムンバイにある300校の小学生向けに開催する計画だ。
もう一つは、トライアウトの開催。2007年、アメリカの著名なスポーツエージェントのJ.B.バーンスタイン氏がインドでメジャーリーガーを発掘するために、リアルオーディション番組『ミリオンダラー・アーム』を開催した。100万ドルの賞金に惹かれて3万人が挑戦し、実際に2人がMLBプレーヤーになった。この実話は映画にもなったが、今度はMLBの主催で、今年9月から12月にかけて、トライアウトが開催される。
また、現在はインドでMLBの試合を見ることができないため、毎週1試合、Facebook上で無料配信する計画も立てている。
13億人の人口を抱えるインドで、MLBが市民権を得ることができるか。MLBの新たな挑戦がスタートした。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N
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