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SAP、ファンがNBAのGMを目指すTVショー『GM School』を制作〜データの重要性をファンにアピールする狙いとは?〜

2019年05月26日 コラム Written by SPODIGI(旧・スポーツ×スポンサー辞典)

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 SJNでは、スポーツとスポンサーに焦点を当てたスポーツビジネス考察サイト「SPODIGI(スポディジ)」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

 今回は、北米バスケットボールリーグNBAにおけるSAPの事例を紹介します。

(出典:SPODIGI『SAP、ファンがNBAのGMを目指すTVショー『GM School』を制作〜データの重要性をファンにアピールする狙いとは?〜
』2019年4月30日)

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 北米バスケットボールリーグNBAのデータ分析パートナーであるSAPが、データ好きなNBAファン向けのTVショーを作成している。

 SAPはドイツに本社を構える大手ビジネスソフトウェア企業だ。『SAP HANA』などが主力製品で、企業のビジネス課題を解決するソフトウェアの開発や導入支援を行っている。NBAとは、2013年からパートナーシップを結んでおり、データ活用推進のサポートをしてきた。

 NBAとの取り組みで特徴的なのが、選手や試合のあらゆるデータを確認できる『The NBA’s Stats Platform』だ。月間300万PVを生み出す巨大サイトとなっており、このサイトにもSAP HANAが導入されている。

■SAP GM School
 今回新たに作成されたショーは、NBAのGMを目指して、4人の候補者がデータを駆使しながら3つの課題に挑んでいくというもの。このショーはNBA TVで放映され、現在はYouTubeで視聴することができる。

 候補者は、コンサル会社勤務、ラジオパーソナリティー、メンタルヘルスサービス組織勤務の女性、ファイナンスやデータ分析を学ぶ修士課程の院生と、バラエティー豊かな面々で、共通点はバスケットボール、そしてNBAのファンであるということだけ。

 1つ目の課題は試合後の記者会見の設定で、スタッツシートを見ながらそのスタッツになった理由を論理的に説明する。2つ目の課題はドラフトの設定で、選手スタッツを見ながら2人の選手を選ぶ。そして最後の3つ目の課題で、5人の先発ラインナップを選定した。

 候補者には、SAPのプラットフォームで計測され実際にNBAで使用されているものと同じデータが提供された。最高評価を獲得した候補者は、NBAのエグゼクティブとの面会や、将来的にNBAで働くことを考えて内部の仕組みなどを質問できる貴重な機会を得た。

■NBAがデータ活用の現場をファンに見せる狙い
 近年アメリカでは、2018年5月にスポーツべッティングが合法となったことから、選手やチームのデータを細かくチェックし賭けの対象を決めるファンが多くいる。特に、ファンが自分の好きな選手だけで架空のチームをつくり、そのチームに所属する選手のパフォーマンスによってポイントを稼ぎ、賞金を競い合う「ファンタジースポーツ」が人気だ。The NBA’s Stats Platform などは、そうしたファンにとって貴重なデータベースとなっている。

 そのため、純粋にバスケットボールが好きなNBAのファンもいれば、ファンタジースポーツなどのスポーツべッティングに参加しているモチベーションから、NBAを観戦するファンもいる。そうした背景から、NBAの現場でデータが活用されている裏側をファンに知ってもらうことで、「NBAはデータ活用を推進するリーグ」という印象を与え、ファンとのエンゲージメントを高める狙いがあったと考えられる。

 NBAのマーケティングパートナーシップ担当であるKerry Tatlock氏は「パートナー企業の助けのもと、世界中のNBAファンとの関係性を深める新しい方法を常に探している。このショーは、現代のNBAのフロントオフィスにおいて、テクノロジーを活用できるスキルが重要であることをファンに伝えるものだ」と述べており、NBAにおけるテクノロジーやデータの重要性をアピールしたいという狙いが見て取れる。

 そして特筆すべきは、NBAとSAPの採用マーケティングにもつながっている点だ。NBAの立場としては、GM Schoolの内容そのままに、リーグ/チーム運営に興味があるファンに、実際の現場イメージを抱いてもらうことができる。特に、データ分析を強みとする採用候補者へのアプローチとして効果的な手段だろう。

 一方のSAPの立場としては、NBAのデータ分析の根幹を担っていることをアピールし、データ分析やテクノロジーでスポーツを支援したいと考えている優秀な人材からの興味・関心を高めることができる。SAPのグローバルスポンサーシップ担当であるFleetwood氏は「入社してくる次の世代のタレントとつながる新しい機会をいつも探している。」と述べ、採用候補者へのアプローチが狙いの一つだと語った。

■自社製品の導入はアクティベーションの一つ
 このように、SAP GM School はファンタジースポーツなどのスポーツベッティングを中心としてデータ分析に興味があるファン、そしてNBAとSAPへの入社を志望する採用候補者へのアプローチを図るアクティベーションであるといえる。

 SAPのように、自社製品をスポンサードしているリーグやチームに導入し、ショーケースとして活用することは、スポンサーシップのアクティベーションにおける有効な手段の一つだ。しかし、The NBA’s Stats Platform や GM School のようにファンが触れやすい形にすることで、スポンサードしていることをアピールしやすい。

 特に GM School は、ファンが楽しめるストーリー性のある動画コンテンツであるため効果的だ。自社製品の導入後に、ファンや取引先に自社の取り組みを認知させる方法に悩んでいる担当者にとっては、ぜひとも抑えておくべき事例だろう。

【了】

記事提供:SPODIGI

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