観客減に悩むサンフランシスコ・ジャイアンツ。ファンをつなぎ留めるための取り組み
2019年04月24日 コラム チーム/リーグ経営 Written by 川内 イオ
アメリカのメジャーリーグ屈指の名門球団といわれるサンフランシスコ・ジャイアンツが、観客数の低迷にあえいでいる。4月8日の月曜日、サンディエゴ・パドレス戦の観客数は2万8625人。本拠地オラクル・パークが2000年にオープンしてから初めて3万人を下回り、最低の観客数を記録した。
この数字は、スタジアムに閑古鳥が鳴いている今シーズンのジャイアンツを象徴している。今シーズン開幕からホーム10試合の平均観客数は3万2165人。それまでオラクル・パークで最も平均観客数が少なかったシーズンは2010年の3万7499人だったから、今シーズンは最低記録を更新する勢いだ。
ちなみに、オラクル・パークの収容人数は4万1915人で、2010年、2012年、2014年にワールドシリーズを制すなど好調だったジャイアンツは2011年から2017年までは平均4万人を超える観客を集めていた。2011年から2017年までは3万枚のシーズンチケットを販売しており、2011年から2017年7月まで、530試合連続でチケットがソールドアウトする人気ぶりだった。
風向きが変わったのは、2017年のシーズンから。この年に両リーグワーストタイの98敗を喫して西地区5位に低迷すると、2018年にも89敗で西地区4位と振るわず、敗戦ばかりの球場からファンの足が遠のいていった。
そして今シーズン、シーズンチケットの売り上げは2万6000枚に減った。開幕からホーム10試合の平均観客数3万2165人は、30チームあるメジャーリーグで13位。2018年の最初のホーム10試合が3万8733人だったことからも、人気の凋落がうかがえる。
これに歯止めをかけるために、ジャイアンツは初めて「交換プログラム」を実施。これは不要なチケットを処分したいファンに対して、他のゲームと交換することができるようにする処置だ。「家に帰るのが遅くなる」というファンの声を受けて、平日夜の試合開始時間を19時15分から18時45分に前倒し。シーズンチケット保有者にはオフィシャルグッズを20%オフで販売し、球場内で選手と簡単な交流ができるような機会も提供するなど、さまざまな手を打っている。
これらの取り組みよってジャイアンツの観客動員数がどう変化するのか、注目だ。
【了】
川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N
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