MLB×ナイキの10年間のサプライヤー契約を支えるファナティクスの存在〜スポーツマーチャンダイジングの次世代ビジネスモデルとは?〜
2019年03月09日 コラム スポンサーシップ/パートナーシップ Written by SPODIGI
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今回は、MLBと10年間のサプライヤー契約を締結した大手スポーツメーカー、ナイキ(Nike)の事例を紹介します。
(出典:SPODIGI『MLB×ナイキの10年間のサプライヤー契約を支えるファナティクスの存在〜スポーツマーチャンダイジングの次世代ビジネスモデルとは?〜』2019年2月28日)
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■MLB×ナイキ×ファナティクスによる10年間のパートナーシップ
2019年1月25日、北米プロ野球リーグMLBが大手スポーツメーカーであるナイキ(Nike)と10年間のサプライヤー契約を結んだことを発表した。2016年にアンダーアーマーが2020年から同様の契約を結ぶことが発表されていたが、経営の見直しで辞退となり、ナイキに取って代わった形だ。
この契約により、2005年から公式サプライヤーであったマジェスティック・アスレティックの後任として、ナイキが2020年シーズンからMLBの公式ユニフォーム&シューズのサプライヤーとなる。アメリカ4大スポーツでは、NBAとNFLに加えて3つ目のサプライヤー契約だ。
このMLBとナイキの大型契約に注目が集まりがちであるが、忘れてはならないのはこのパートナーシップに参画するファナティクスの存在だ。
同社は米国フロリダ州ジャクソンビルに本社を構える、ファングッズの企画、製造と販売を専門とする企業。アメリカ4大スポーツ(MLB、NBA、NFL、NHL)やレアル・マドリードなどの欧州サッカークラブ含め全世界300以上のスポーツチーム・リーグ等とパートナーシップを締結している。リアル店舗やオンラインショップの運営企画、 グッズの企画・製造・販売、広告やEメール、SNSを活用したマーケティングなど、スポーツマーチャンダイジングに関わる幅広い分野を請け負っている。
MLB, Nike and Fanatics form 10-year partnership https://t.co/7EtHMCaeV8 pic.twitter.com/RFJ9Q8QDCB
— Coach Billy Carson (@CoachCarson) 2019年1月25日
MLBとの契約においても、グッズのライセンス生産・管理を行うが、特筆すべきは、ナイキの公式コレクションもファナティクスが製造し、MLBの公式ショップや各MLBのクラブチームの公式ショップで販売を行うことだ。つまり、MLBの公式ユニフォームとシューズのデザインはナイキが行うが、その製造と販売はファナティクスが手掛けることになる。そして、ナイキはMLBファンイベントの支援やMLBの持つメディアアセットを活用したブランドプロモーションに注力していくとのことだ。
しかし、ナイキなどのスポーツメーカーやMLBなどのコンテンツホルダーが自ら製品やグッズの販売を行わず、ファナティクスに委託するメリットはどこにあるのだろうか。それを掘り下げていくことで、スポーツマーチャンダイジングにおける次世代のビジネスモデルが見えてくる。
■ファナティクスが提唱する「V-commerce」と「ホットマーケット」
ファナティクスの最大の強みは、同社が提唱するファングッズの企画、製造、販売までを垂直統合的に行う「V-commerce」というビジネスモデルだ。通常であれば、企画はクラブや代理店、製造はメーカー、販売は小売店など役割が分担されることが多いが、これを全て同社が担うことで、生産リードタイムを短くして新商品を素早くファンに届けることが可能になる。
これにより、例えば有名選手の移籍、新加入選手の初得点、優勝チームが決まる決勝戦の直後など、同社が“ホットマーケット”と呼ぶ「ファンが最も熱狂するメモリアルな瞬間」にファングッズを瞬時に販売することができる。このホットマーケットをつかむために、同社は商品企画・開発・デザインチームを社内に抱えるだけでなく、商品を素早く製造するための最先端デジタルプリンターなどのテクノロジーへの投資を積極的に行っている。
Check out the @Fanatics Virtual Fitting Room at the @MLB All-Star #FanFest this week in Washington DC! pic.twitter.com/Ale1yVA4oa
— Fanatics (@Fanatics) 2018年7月16日
(昨年のMLBオールスターズで展示されたバーチャル試着室。こうしたファンのグッズ体験に革新をもたらすテクノロジーの開発にも力を入れている)
リーグやチームなどのコンテンツホルダーは、ファンのさまざまなニーズに応えてスピーディーにグッズを届けたいと考えているが、余分な在庫を抱えてしまうリスクを負うことができなかった。スポーツチームも同様に、SKU(在庫管理単位)を最適化する必要がある上に、ブランド露出の最大化に重きを置く必要があった。しかし、ファナティクスが一手に担うことでこれらの課題を解決でき、マーチャンダイジング収入増加に貢献することができる。
新シーズンのユニフォームの受け取りが2カ月後、優勝グッズが手元に届いたのが数カ月後、買いたいグッズの在庫が切れている、といった決して好ましくはない体験をしたファンも多いだろう。これらのファン・エクスペリエンスを改善していくことはロイヤリティーの高いファンの増加にもつながっていくため、そうした意味でもファナティクスにかかる期待は大きい。
■日本でも広がるファナティクスのビジネス展開
ファナティクスは、米国Fast Company誌が選ぶ「世界で最も革新的な企業ランキング2019」のスポーツ部門でNBAに次ぐ2位にランクインするなど、その注目度は年々高まっている。
日本でも、昨年10月に福岡ソフトバンクホークスとの10年契約が発表され、実店舗やオンラインストアのリニューアルが行われている。
福岡ソフトバンクホークスが生まれ変わる!Fanatics Japanが運営する国内初のオフィシャルグッズショップ「HAWKS STORE」3月1日にグランドオープン!!#softbankhawks #Hawks #ソフトバンクホークス #ヤフオクドーム #FANATICShttps://t.co/32ZrNBpXp3 pic.twitter.com/OKcTxEoGuI
— Fanatic Japan (@FanaticsJapan) 2019年2月20日
また、昨年11月に開催された日米野球ではV-commerceモデルの公式ストア運営も手がけ、大谷選手の新人王獲得発表から24時間以内に記念Tシャツをナゴヤドーム店頭で販売するなど、日本におけるビジネス展開も着々と進んでいる。
まさしくスポーツマーチャンダイジングの次世代ビジネスモデルを推し進めていくファナティクスの動きには今後も注目していきたい。
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●MLB(メジャーリーグベースボール)|スポンサー企業一覧
【了】
記事提供:SPODIGI
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