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13歳の天才サッカー少女がプロとしてナイキと複数年契約を締結

2019年03月02日 コラム Written by 川内 イオ

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 ナイキが13歳のサッカー少女と複数年のプロ契約を交わして、メディアを賑わせている。女の子の名前は、Olivia Moultrie(以下、オリビアと表記)。オリビアはスポーツエージェンシーWasserman Media Groupと契約し、同社を通じてナイキと複数年契約を結んだ。 

 契約の詳細は明かされていないが、ニューヨークタイムズは、「一流大学で受け取ることができる4年間の奨学金、およそ30万ドルよりも大きい金銭的な価値がある」というWasserman Media Groupの担当者の言葉を報じている。

 子どものころからカリフォルニアにある自宅近くの男子のサッカーチームでプレーしていたオリビアさんは、11歳の時に、大学サッカーの強豪校ノースカロライナ大学からサッカー選手として奨学金の申し出を受けたことで、天才サッカー少女として有名になった。

 家族は「世界最高のサッカー選手になりたい」というオリビアさんをサポートするために、自宅の庭に6万ドルをかけて人工芝のフィールドを設置。そのころから、学校に通わずホームスクールで勉強を続けながら、サッカーに専念。全米からユース年代のトップチームが集うリーグ戦「U.S. Soccer Development Academy」に参加する男子チームで、史上初の女子選手としてプレーした。年上の世代のアメリカ女子代表にも抜擢されている。

 12歳の時には、バイエルン・ミュンヘンとオリンピック・リヨン、パリ・サンジェルマンの「ユースチーム」のトレーニングに参加。パリ・サンジェルマンでは、17歳以下の少年たちと一緒にプレーをした。

 ナイキは以前からオリビアさんに目をつけていて、過去のCMにも起用している。しかし、今回のプロ契約によって、オリビアさんは学校やアマチュアクラブでもプレーができなくなるため、今後に注目が集まっている。

 18歳以下の選手の海外クラブ移籍を規制しているFIFA(国際サッカー連盟)の規定で欧州のクラブへの移籍は難しいため、アメリカの女子プロサッカーリーグ、ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグ(NWSL)のどこかのクラブで強化指定選手としてプレーする道が有力だ。しかし、NWSLでプレーできるのは18歳以上の選手という規定があるため、現時点ではオリビアさんはプレーする場所がない。アメリカのワンダーガールが今後どういうキャリアを歩むのか、注目が集まっている。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。『BREAK!「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N


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