スポーツビジネス・マネジメントのトレンドと求人情報

【応援グッズ配布事例】ホームサポが知らぬ間にアウェイサポに?ペルー代表のW杯出場を支えた秀逸な応援企画

2018年06月09日 コラム Written by SPODIGI(旧・スポーツ×スポンサー辞典)

このエントリーをはてなブックマークに追加

 SJNでは、スポーツにスポンサードする企業を、チーム、コンペティションごとにまとめたウェブサイト「スポーツ×スポンサー辞典」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

 スポーツの試合において、スタジアムや試合会場付近でチームを応援するグッズやスポンサー企業の商品の配布などはよく見られる光景ですが、今回は、そんなよくあるグッズ配布において、とても秀逸な応援グッズ配布がワールドカップの大陸間プレーオフで行われましたのでご紹介します。

(出典:スポーツ×スポンサー辞典『【応援グッズ配布事例】ホームサポが知らぬ間にアウェイサポに?ペルー代表のW杯出場を支えた秀逸な応援企画|スポーツビジネス』2018年5月30日)

※画像:https://www.youtube.com/watch?reload=9&time_continue=89&v=i5GT1jd3WWk より引用


――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇
■The Hacking Jersey

 2017年11月7日、FIFAワールドカップ・ロシア大会出場をかけた大陸間プレーオフ第1戦「ニュージーランド対ペルー」が、ニュージーランドのホーム「Westpac Stadium」で開催された。

 その試合前にニュージーランドサポーターに向けてある応援ユニフォームが配布された。それがニュージーランドの国の形がプリントされたユニフォームだ。

 よく見ると普通の応援ユニフォームだが、実はペルー代表のユニフォームに非常に似ており、遠目から見ると完全にペルー代表のユニフォームに見える。実はこのユニフォーム、ペルー代表のスポンサー「Cristal(ペルーのビールブランド)」が仕掛けたもので、自国のワールドカップ出場を後押しするために作られた。

 ペルー代表が最後にワールドカップに出場したのは1982年で、それ以降一度も出場を果たせていない。ニュージーランド戦は非常に重要な一戦になるが、開催都市ウェリントンにはペルー人が64人しか住んでおらず、ペルーからの距離は1万キロ以上離れている。そのため多くのファンが代表チームを応援するために駆けつけることは困難であった。

 そんな状況でペルー代表の選手たちに少しでもホームの雰囲気を感じてもらうために考えられた作戦が、ニュージーランドのファンに応援グッズだと思わせて、ペルー代表に似たユニフォームを着させるというものだった。白と赤がベースというのもニュージーランドの人々からすると自然な上、背中にはニュージーランド代表のスローガン「HERE AS ONE」が記載され、ユニフォームもらったファンは完全に信用して普通に喜んでいる。

 さらには、ニュージーランド代表のレジェンド選手にもこのユニフォームを着てもらい、試合にも招待した。また、Facebook広告の地域ターゲティング機能を活用して広告を配信しユニフォームのプロモーションも行った。このFacebookページはこの応援ユニフォーム企画のためだけに作られたページだ。

 このように、ありとあらゆる方法でニュージーランドのホームスタジアムをハッキングし、多くのペルー代表のサポーターがいると錯覚させることに成功した。試合を実況する人も「大勢のペルー代表のサポーターがいます」というコメントを残している。

 この施策の効果もあってか、ペルー代表はこの試合を0-0で乗り切ると、ホームでの試合に2-0で勝利し、見事ワールドカップへの出場権を勝ち取った。

■応援グッズを活用して代表チームを支えたスポンサー企業
 こうしたスポンサー企業による応援グッズの配布はよくある形ではあるが、今回Cristalが行った施策は、どのように代表チームをサポートしたいかという意志が明確に表れており、それをこれまでにないユニークな方法で実現している点が優れている。

 ただ単にグッズを配布しただけでは、もらった人々の心には残りにくい。しかしCristalがやった施策のように、普通のやり方とは違う形をとることで人々に強い印象を残すことができる。

 今回ユニフォームをもらったのはニュージーランドのサポーターであるため、彼らにはいい印象を持たれることはないかもしれないが、SNSを通して自社の取り組みを発信したり、メディアに取り上げられることで、ペルーの人々に印象付けること可能だ。

 そしてこの秀逸な応援ユニフォーム企画はCristalのブランディングに繋がっている。

「ペルーから遠く離れたニュージーランドで選手たちにホームを感じてもらいサポートしたい」という想いから生まれたこの施策は、ペルー代表を応援する国民にとって非常に好感の持てるものだ。

 このようにスポンサードするチームを支える取り組みを行うことで、自社のブランドイメージを高めることができる、最終的には「ペルー代表の試合を見るときはCristal!」と想起させることで、セールスUPを図ることが狙いだと考察する。

■応援グッズの効果的な活用法
 せっかくコストを費やし、応援グッズを作って配布しても、どこの企業の取り組みなのか人々が分からなければ、大きな成果を得ることはできない。それではそのスポンサーシップの権利を効果的に活用することはできていない。

 応援グッズのアイデアはもちろん、配布方法、メッセージ、その試合のシチュエーションなどによって、他の企業とは差別化を図ることができる。そうした意味で、今回のCristalの取り組みは革新的で一線を画するものだ。

 Cristalのようにスポンサードするチームの状況や背景などから、ターゲットに向けて最適なアプローチ方法を導き出し、人々の心に残り続ける応援グッズがこらからも生まれていくことを楽しみにしたい。

【了】

記事提供:スポーツ×スポンサー辞典

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<スポーツ×スポンサー辞典とは?>
デジタルマーケッターが運営する、スポーツとスポンサーに焦点を当てたウェブサイト。
スポンサーシップの権利活用(スポンサーシップのアクティベーション)を題材にした、スポーツビジネス・マーケティングの実例記事を掲載。
Jリーグ、海外サッカーチーム、オリンピックなどのスポンサー企業のまとめ一覧と、その簡潔な会社概要も随時更新中。
http://www.sponsorship-activations.com/
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------










カテゴリー

アーカイブ