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セルティックがアメリカでリーグ戦開催へ!? スコティッシュ・プレミアリーグに新たな動き

2015年11月28日 コラム Written by 川内 イオ

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 かつて中村俊輔(現横浜F・マリノス)もプレーしたスコティッシュ・プレミアシップで、これまでにない新たな動きが出ている。スコットランドの高級紙『ヘラルド』の報道によると、セルティックとダンディーFCの2クラブが、今シーズンの両クラブのリーグ戦をアメリカで開催しようと計画しているのだ。

 この計画は、アメリカ人2人がオーナーを務めるダンディーFC側から提案されたもので、現時点ではまだ何も正式には決定していない。しかし両クラブの交渉は進んでおり、開催可能な日程や会場について議論されているという。会場として、スコットランド系住民が多く、集客の見込めるボストン(NBAのボストン・セルティックスの本拠地)や、フィラデルフィアが候補に挙がっている。ダンディーFC側はプレスリリースで、「まだ計画は初期の段階」として、今後、時期を見計らってリーグ側の承認を求める流れになると説明している。

 リーグ側の許可が下りたとしても、最終決定権を持つFIFA(国際サッカー連盟)やUEFA(欧州サッカー連盟)からNGを出される可能性があり、実現するかどうかはまだ分からないが、これは興味深い試みだ。

 アメリカのMLB(メジャーリーグベースボール)は、グローバル戦略の一環で1996年から海外で公式戦を開催しているし、NFL(アメリカンフットボール)も「インターナショナルシリーズ」、NBA(バスケットボール)も「グローバルゲームズ」として同様の取り組みを行い、集客的にも、マーケティング的にも成功を収めている。

 ダンディーFCのアイデアはいわばアメリカへの逆輸入だが、新たに市場を開拓するのではく、既にファンのいる場所で開催するというメリットがある。特に多くのスコットランド系住民に支持されているセルティックは、これまでに何度も北米でフレンドリーマッチを開催しており、過去のプレシーズンツアーで行われたレアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドとのフレンドリーマッチには、4万人近くの観客を集めている。この動員力にはもちろん対戦相手のネームバリューもあるだろうが、今回の計画のように真剣勝負のリーグ戦ともなればスコットランド系住民の関心もますます高まるはずだ。

 リーグ側にとっても、メリットは大きい。アメリカでの成功は、リーグ自体のプロモーションやブランディングに直結する。今回の提案を許可した場合、今後、他のクラブから同様の提案があった時にも不公平がないように検討しなくてはならず、面倒な手続きが増えるのがネックだが、海外での公式戦はリーグが取り仕切るアメリカ式に移行すれば、流れはスムーズになる。

 実現までの道のりは長いが、スコティッシュ・プレミアシップの将来を考えれば、チャレンジする価値はあるだろう。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9ヶ月で退職し、03年よりフリーライターとして活動開始。06年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。10年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。


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