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中国でアイスホッケー人気に火をつけることができるか!? 中国政府からの依頼でNHLが中国に初進出

2017年09月29日 コラム Written by 川内 イオ

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 アメリカのナショナルホッケーリーグ(NHL)は9月、初めて中国でプレシーズンマッチを開催した。
 試合を行ったのは、NHLの人気チーム、バンクーバー・カナックスとロサンゼルス・キングス。9月21日に上海のメルセデス・ベンツ・アリーナで行われた試合では、1万88人、23日に北京の楽視スポーツ生態センター(Wukesong Indoor Stadium)で行われた試合では1万2759人の観客を集めた。また、上海では子ども向けのクリニック、北京ではファンフェスタが開催された。

 今回のNHLの訪中は、中国政府からの要請で実現した。政府は、2022年の北京冬季五輪に向けて、3億人が冬季スポーツをプレーするようになることを目指しており、アイスホッケーの認知と人気の拡大を目的にNHLを招へいしたのだ。

 中国ではアイスホッケーはマイナー競技で、カナダの公共放送局CBCによると、登録されている選手はわずか1100人。中国はこれからの5年間で代表チームを強化するために、昨年にはロシアを中心としたKHL(コンチネンタル・ホッケー・リーグ)に、中国のアイスホッケークラブ、レッドスター・クンルンを加入させた。さらに、2022年までに200を超えるアイスホッケーリンクを作る計画だ。

 まだまだ未開拓の中国市場だが、中国政府からの要請はNHLにとって巨大なマーケット進出の足掛かりとして捉えられている。NHLが最初にアジアに進出したのは、1997年。1997‐98シーズンのリーグ開幕戦の2試合を日本で開催した。この影響で、1998年の長野五輪ではNHLのスター選手も参加したアイスホッケーが話題を呼んだ。

 しかしその後、日本、そしてアジアのマーケットで存在感を高めることはできないまま、20年が過ぎた。今回の訪中は20年ぶり、二度目のアジア市場への挑戦となっている。

 中国ではまだNHLの認知度が低いだけでなく、そもそもアイスホッケーのルールが知られていないことから、今回のプレシーズンマッチでは、プレーヤーとルールの紹介を含むプログラムを座席に配布。試合中も、オフサイドや他のファウルで審判のホイッスルが鳴ると、再開までの間に会場の大型ビジョンでルールの解説が行われた。

 中国政府とNHLは今後5年間、中国でNHLの試合を開催することで合意しており、NHLにとっては継続的に中国という巨大な市場でマーケティングできるのは大きなメリットになるだろう。
 中国政府とNHLの蜜月が2022年にどういう結末を迎えるのか、注目だ。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi
1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
新刊『BREAK! 「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N


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