事業許可番号 職業紹介: 13-ユ-311209

スポーツ業界の求人情報とトレンド

「思い出」と「チャンピオンズリーグ」どっちが大事? Pepsi(ペプシ)による素敵なサプライズ企画

2017年07月07日 コラム Written by SPODIGI

このエントリーをはてなブックマークに追加

 SJNでは、スポーツにスポンサードする企業を、チーム、コンペティションごとにまとめたウェブサイト「スポーツ×スポンサー辞典」のご協力を得て、記事提供を頂いております。

 今回は、ペプシコーラやフリトレーなどのブランドで知られる「PepsiCo(ペプシコ)」による、UEFAチャンピオンズリーグでのスポンサーシップのアクティベーション事例をご紹介します。

 2015年からチャンピオンズリーグのスポンサーを務めるペプシコは、ペプシ・ブランドで行っている現行のキャンペーンメッセージを掛け合わせた、ちょっと心の温まるサプライズ企画を仕掛けました。

(出典:スポーツ×スポンサー辞典『「思い出」と「チャンピオンズリーグ」どっちが大事? Pepsi(ペプシ)による素敵なサプライズ企画』2017年6月26日)

――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇――◆――◇
■思い出のチケット vs チャンピオンズリーグ決勝のチケット
 ペプシは、素敵な思い出のあるチケットを持つサッカーファンを集め、彼らの「思い出のチケット」と「チャンピオンズリーグ決勝のチケット」どちらが大切かを試すサプライズを仕掛けました。

 その様子をまとめた動画があるので、ぜひご覧ください。

 このサプライズはペプシ・ブラジルによって仕掛けられたもので、「Troca de Memorias(Memory Exchange)」と名付けられました。

 ファンが各々の思い出のチケットに対する熱い想いを語ります。しかし、チャンピオンズリーグ決勝のチケットとの交換を提案され、承諾する者もいました。しかし、彼らには本物のチャンピオンズリーグ決勝のチケットは与えられず、「思い出のチケットの方が大切だ」と答えた2人に、本物のチケットがプレゼントされました。

 視聴者も「もしも自分の身に同じことが起きたらどちらを選ぶだろう?」と想起しやすく「自分ごと」にしやすいストーリーになっているので、視聴者の印象に深く残りやすい面白いコンテンツです。

 ちょっとドキドキしながら見られるこのビデオ。2人の男性が「交換できない」と答えた瞬間は、少し胸が熱くなります。自分の中にあるかけがえのない思い出は、何があっても大切にしていくべきだと思わせる、素敵なキャンペーンビデオです。

 今回は、この「Troca de Memorias」で伝えたいメッセージ、またその効果について考察しました。

■「We Know How Much It Means」というキャンペーンメッセージ
 このサプライズ企画は、「We Know How Much It Means(どれだけ大きな意味があるか分かっている)」というペプシのキャンペーンメッセージを消費者に届けるという明確な目的があります。

 チャンピオンズリーグへのスポンサーシップは、この「We Know How Much It Means」というキャンペーンメッセージをコンセプトにして展開されています。このメッセージを主題にした、CMも制作されています。

 YouTube上の、この動画の説明文には、以下のように書かれています。(英語)

Through a superfan anthem film titled “We Know How Much It Means,” Pepsi turns the focus to the fans themselves and the multitude of moments that stir our passions throughout a game of football.

 簡潔にまとめると、「『We Know How Much It Means』のキャンペーンを通して、ペプシはファンとフットボールによって心を掻き乱されるさまざまなモーメント(瞬間)に着目していく」と解釈できます。

 ここで、「Troca de Memorias」に話を戻すと、チャンピオンズリーグ決勝のチケット一枚に心を揺さぶられ、実際に動いてしまうファンの心情を描写しています。これは、「We Know How Much It Means」というキャンペーンメッセージに重ね合わせていることがうかがえます。

 また、チャンピオンズリーグ決勝のチケットではなく、フットボールに心を掻き乱されながらもチケットに込められた思い出を選んだ者、つまりは「そのチケットにどれだけ大きな意味があるか分かっている者」にだけ本物のチケットを与えるというストーリーも、キャンペーンメッセージとつながるものとなっています。

 このように、サプライズ企画「Troca de Memorias」は、「We Know How Much It Means」というキャンペーンメッセージを届けるために適切な演出とストーリーが練られています。

■キャンペーンメッセージを通したブランディング
 ペプシは、フットボールファンの心が掻き乱される瞬間に着目する「We Know How Much It Means」というキャンペーンメッセージを通して、「あなたの価値ある瞬間のそばにはいつもペプシがいる」というイメージを人々に訴求することが、一連の企画の大きな狙いであると考察します。

 ここで紹介した2つのビデオは、人々の心が踊る瞬間、心が掻き乱される瞬間を映し出していますが、多くの場面にペプシの缶が映り込んでいます。

 以上のような描写を入れ込むことで、人々の心が躍る瞬間、つまりは「その人にとって価値ある瞬間」にペプシは寄り添っている、というイメージを視聴者に植え付けることができます。

 それがブランドイメージの向上につながり、その結果として、「チャンピオンズリーグを見る時はペプシを飲もう!」と想起させ、購買まで結び付けることが最終的な狙いであると考察します。

■個々のスポーツの持つ「価値」を最大限活用する
 世界的なスポーツコンテンツであるチャンピオンズリーグは、世界中の人々の心を動かし続けています。そんなチャンピオンズリーグは、フットボールファンにとっては「大きな意味」を持っており、このサプライズ企画と絶妙にマッチしています。チャンピオンズリーグアンセムをバックミュージックとして使用している点も親和性が高く、スポンサーとしての権利を効果的に活用しています。

 このように、そのスポーツの持つ「価値」に合わせた施策を練ることで、その施策の効果を最大化できます。その価値を活用できるのはスポンサーの特権です。個々のスポーツが持つ価値を最大限に活用することで、効果的なスポンサーシップのアクティベーションとなります。

 ただのロゴ掲出ではなく、そのスポーツにスポンサードする「意味」を明確にし、そのスポーツとの共存でしか生まれない発想やアイデアが求められていくでしょう。そうした優れた事例が今後も増え続けていってほしいと思います。


※関連記事
柴崎岳はTwitterでも大人気?テネリフェから考える地域と結びつくSNS活用方法とは?<2017年5月31日>
CL決勝の「音」に着目!イタリアの大手銀行によるブランディングキャンペーン<2017年4月30日>


【了】

記事提供:スポーツ×スポンサー辞典

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<スポーツ×スポンサー辞典とは?>
デジタルマーケッターが運営する、スポーツとスポンサーに焦点を当てたウェブサイト。
スポンサーシップの権利活用(スポンサーシップのアクティベーション)を題材にした、スポーツビジネス・マーケティングの実例記事を掲載。
Jリーグ、海外サッカーチーム、オリンピックなどのスポンサー企業のまとめ一覧と、その簡潔な会社概要も随時更新中。
http://www.sponsorship-activations.com/
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


スポーツ業界の求人情報とトレンドは SPORTS JOB NETWORK












カテゴリー

PICK UP イベント情報