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ロサンゼルス・ラムズ(NFL)が観客を「減らす」ことを計画 数百万ドルの損失を出しても目指すものとは?

2017年07月01日 コラム Written by 川内 イオ

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 世の中の大半のプロスポーツチームは、いかに観客を増やすか頭をひねっているだろう。しかし、NFL(米アメリカンフットボールリーグ)のロサンゼルス・ラムズは、観客を「減らす」ことを検討しているという。

 現地紙『ロサンゼルス・タイムズ』によると、ラムズは今シーズン、ホームゲームの観客数を7万人程度に制限することを計画している。目的は「スタジアムでのファンの体験を向上させるため」。取材に対して、ラムズのコンシューマーセールス&マーケティング担当のバイスプレジデント、ジェイク・バイ(Jake Bye)氏は「ただ単に、スタジアムにたくさんの観客を入れればいいというわけではない。私たちは、ファンに最高の体験を提供したい。スタジアムで最適なオペレーションを提供し、ファンにとって素晴らしい体験をもたらすのは7万人程度がベスト」とコメントしている。

 昨シーズン、37年ぶりにロサンゼルスに戻ったラムズは、7万枚のシーズンチケットを販売し、レギュラーシーズンの16試合のうち、開幕戦では9万人超の観客数を記録。5試合で8万人を超え、8試合で約8万人を集めた。しかし、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムでのオペレーションは初めてだったため、多少の混乱も生じたという。

 そこで、スタジアムや周辺でのファンの行動を分析。ファンからのフィードバックやロサンゼルス・メモリアル・コロシアムの運営を担当するUSCの代表者との協議をもとに、収容人数を7万人程度にすることで駐車場や入場口、スタジアム内や売店付近の混雑が解消され、快適になるとしている。

 平均8万人を集めるスタジアムでの入場者を1万人減らすということは、少なくとも16試合で16万人分の収入を失うことになる。チケット1枚50ドルとして800万ドルの損失だが、実際はもっと多いだろう。それでもファンの体験を優先するという判断は、なかなかできるものではない。

ちなみに、シーズンチケットが昨シーズンと同様の売り上げであれば、シーズンチケットの保有者しか観戦できないことになるが、ジェイク・バイ氏はプレーオフや人気チームとの対戦に関しては「ケースバイケース」で対応するとしている。

【了】

川内イオ●文 text by Io Kawauchi

1979年生まれ。大学卒業後の2002年、新卒で広告代理店に就職するも9カ月で退職し、2003年よりフリーライターとして活動開始。2006年にバルセロナに移住し、主にスペインサッカーを取材。2010年に帰国後、デジタルサッカー誌、ビジネス誌の編集部を経て現在フリーランスの構成作家、エディター&ライター&イベントコーディネーター。ジャンルを問わず「規格外の稀な人」を追う稀人ハンターとして活動している。
新刊『BREAK! 「今」を突き破る仕事論』(双葉社)を発売中。http://u0u0.net/Ct2N


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